九州・沖縄のビジネスシーンにおいて、企業の「再編」がかつてないほど身近なものとなっています。帝国データバンク福岡支店が2019年6月下旬に実施した最新のアンケート調査によると、九州・沖縄に本拠を置く企業の36%が、今後5年以内にM&Aに関わる可能性があると回答しました。M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略称で、企業の合併や買収を指す言葉です。かつては敵対的なイメージもありましたが、現在は成長の鍵を握る手段として定着しています。
今回の調査結果を詳しく見ていくと、実に半数近い企業が「今後M&Aの必要性がさらに高まる」と予測していることが分かりました。SNS上でもこの結果に対して、「地方企業の生き残りには不可欠な戦略だ」「身近な店が買収されるケースが増えるかもしれない」といった、変化を敏感に感じ取る声が上がっています。特に後継者不足に悩む中小企業にとって、第三者に事業を引き継ぐ「事業承継」としての側面が、この高い関心値に直結していると言えるでしょう。
業種や地域で鮮明に分かれる「変化への意欲」
業界別に注目すると、不動産業界では57%と過半数を超える企業が前向きな姿勢を示しました。これに続くのが47%の小売業、39%のサービス業となっており、消費者に近いBtoC分野での再編意識が際立っています。一方、地域別のデータでは興味深い差が表れました。大分県が46%という高い数字を叩き出し、九州経済の中心地である福岡県の40%を上回っています。対照的に宮崎県は21%にとどまっており、全国で最も低い水準を記録しました。
このように地域によって温度差があるものの、買い手側と売り手側では重視するポイントがはっきりと分かれています。買収を検討する企業が最も気にするのは「金額の折り合い」で、80%がコスト面を最優先事項に挙げました。それに対して、会社を手放す可能性のある「売り手」側は、同じく80%が「従業員の処遇」をトップに選んでいます。この結果からは、経営者が長年苦楽を共にした社員の雇用や生活を守りたいという、切実な願いが透けて見えてくるようです。
編集部が読み解く「九州M&A市場」の現在地
一方で、農・林・水産業(60%)や製造業(48%)などでは、依然として「関わる可能性がない」と考える企業も少なくありません。しかし、帝国データバンクの担当者は、社会全体で後継者不在が深刻な問題となる中、金融機関の仲介機能や融資体制が強化されている現状を指摘しています。2019年11月12日現在、企業の経営スタイルは伝統的なものから、外部資本やノウハウを取り入れる柔軟な形へと、確実にパラダイムシフト(認識の変化)が起きているのです。
私自身の見解としても、このM&Aへの関心高まりは非常にポジティブな動きだと捉えています。単なる「身売り」ではなく、強みを持つ企業同士が手を取り合うことで、地方経済に新しい血が巡り、イノベーションが生まれるきっかけになるからです。金額面だけでなく、売り手が大切にする「人の想い」をどう繋いでいくかが、今後の成否を分けるポイントになるでしょう。九州のビジネス地図がどのように書き換えられていくのか、その動向から目が離せません。
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