日本の宇宙探査にまた新たな歴史が刻まれました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2019年11月13日、探査機「はやぶさ2」が滞在していた小惑星「りゅうぐう」をついに旅立ったと発表したのです。1年半もの間、苦楽を共にしてきた相棒との別れを惜しむように、機体は静かに地球を目指し始めました。
SNS上では「長い間お疲れ様!」「無事に帰ってきて」といった温かい声援が溢れており、日本中がこの壮大な帰路を見守っています。はやぶさ2は同日の午前10時すぎ、高度20キロメートルの待機地点を離れました。約8億キロという、気が遠くなるような長い旅路の始まりに、多くの人が胸を熱くしていることでしょう。
2019年11月18日ごろには、りゅうぐうの重力が及ぶ圏内を脱出する見込みです。その後、12月3日以降にはメインエンジンである「イオンエンジン」を本格的に稼働させ、地球への加速を開始します。イオンエンジンとは、電気の力でガスを加速して噴射する効率的な推進装置のことで、長期間の宇宙航行には欠かせない現代の魔法のような技術です。
JAXAの津田雄一プロジェクトマネージャは、2019年11月12日の会見で「生活の中心にりゅうぐうがあったので寂しい」と、愛着を込めて語りました。私は、この言葉に開発チームの並々ならぬ情熱を感じずにはいられません。単なる機械と天体の関係を超えた、技術者たちの執念と愛情が、数々の奇跡を支えてきたのだと確信しています。
太陽系の起源に迫る「玉手箱」を抱えて
はやぶさ2が成し遂げた最大の功績は、2019年7月に実施された世界初の快挙でしょう。人工クレーターを作成し、小惑星の地中に眠っていた砂や石を採取することに成功したとみられています。地中のサンプルは、宇宙線や太陽光による風化の影響をほとんど受けておらず、46億年前の太陽系誕生時の姿をそのまま留めていると考えられます。
まさにタイムカプセルとも呼べるこの貴重な資料は、私たちがどこから来たのかという謎を解く重要な鍵となるはずです。地球の生命の起源が宇宙にあるという説を裏付ける発見があるかもしれないと思うと、ワクワクが止まりません。この「玉手箱」が無事に届けられることを、今から心待ちにしてしまいますね。
カプセルの帰還は、2020年11月から12月ごろを予定しています。地球付近で切り離されたカプセルは、オーストラリアの砂漠へと投下される計画です。大気圏突入時には表面温度が3000度にまで達しますが、内部は50度以下に保たれるという驚異の設計が施されています。科学の粋を集めたはやぶさ2の物語は、いよいよ最終章へ突入です。
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