2019年11月13日から2019年11月14日にかけて、神奈川県の箱根町と横浜市を舞台に、世界の注目を集める国際シンポジウム「未病サミット」が開催されました。この会議の大きなテーマである「未病(みびょう)」とは、東洋医学の考え方に由来する言葉で、健康と病気を白黒はっきり分けるのではなく、その間を連続的に変化するものとして捉える概念を指します。体調が完全に万全ではないけれど、かといって診断名がつくほどの病気でもない、そんな「グレーゾーン」に光を当てる画期的な試みです。
サミットの最終日となった2019年11月14日には、これまでの議論を集約した大会メッセージが力強く発表されました。「未病指標の精緻化と新たな社会の仕組みづくりを一体的に進め、SDGs(持続可能な開発目標)の最先進県である神奈川から新しい時代を切りひらいていく」という宣言は、まさに次世代のヘルスケアの幕開けを感じさせます。単なる健康ブームに留まらず、社会の構造そのものをアップデートしようとする県の姿勢には、これからの超高齢社会を生き抜くための強い覚悟が滲み出ているでしょう。
専門的な議論の場では、東京大学の教授陣や世界保健機関(WHO)の職員といったトップクラスの知性が顔を揃えました。彼らが熱心に語り合ったのは、あやふやになりがちな未病の状態をいかにして数値化し、客観的な「指標」として確立するかという点です。個人の感覚に頼るのではなく、データに基づいた科学的なアプローチで自分の健康状態を把握できるようになれば、私たちの生活習慣はより劇的な変化を遂げるに違いありません。専門家の英知が、未病を「見える化」する未来をすぐそこまで引き寄せています。
一方で、一般の方にも親しみやすい豪華な顔ぶれが会場を沸かせたことも見逃せません。タレントの西川きよしさんらが登壇した「今日からできる未病改善」のプレゼンテーションは、多くの観客の心を掴みました。SNS上では「難しい議論かと思っていたけれど、自分たちの生活に直結する話で興味が湧いた」「神奈川県の取り組みは先進的でワクワクする」といったポジティブな反応が相次いでいます。有名人の発信力を通じて、未病という言葉が身近なライフスタイルとして浸透し始めていることが伺えます。
私は、このサミットが掲げた「社会の仕組みづくり」という視点に非常に感銘を受けました。個人の努力に丸投げするのではなく、県という自治体が主導してインフラや制度を整えることは、健康寿命の延伸において極めて重要です。病気になってから治療する「事後対応」の医療から、未病のうちに手を打つ「先制型」の社会への転換は、経済的にも精神的にも私たちに豊かな恵みをもたらすはずです。神奈川から始まるこの潮流が、日本全土、そして世界へと広がっていくことを期待せずにはいられません。
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