米中貿易摩擦の象徴とも言える華為技術(ファーウェイ)を巡る問題が、新たな局面を迎えました。米国商務省は2019年11月18日、同社に対する輸出禁止措置の例外として認めていた一部取引の猶予期間を、さらに3カ月間延長すると発表したのです。これにより、期限は2020年2月16日まで延びることとなりましたが、これは決して全面的な和解を意味するものではありません。
ここで言う「禁輸措置」とは、安全保障上の懸念がある外国企業に対し、米国製のハイテク部品やソフトウェアを自由に販売することを禁じる非常に強力な制裁です。特にファーウェイは、次世代通信規格「5G」をリードする存在であるため、米国側は技術流出やスパイ活動への転用を厳しく警戒しています。今回の延長は、あくまで既存の通信網を維持するための「最低限の救済措置」に過ぎないのが実態でしょう。
揺れ動くトランプ政権の思惑と進まない個別許可
SNS上では「結局また先延ばしか」「米中交渉のカードにされている」といった冷ややかな声が目立っています。実際にトランプ大統領は、2019年6月末の米中首脳会談において、安全保障を脅かさない範囲での個別取引を容認する姿勢を示していました。しかし、米商務省には既に200件を超える輸出申請が届いているものの、現時点で1件も許可が下りていないという、異例の事態が続いています。
ロス商務長官は当初、非常に近い時期に許可を出すと示唆していましたが、2019年11月18日の発表では一転してその話題に触れませんでした。この背景には、難航する米中貿易交渉の「第1段階」合意に向けた駆け引きがあると考えられます。私は、トランプ政権がファーウェイを極めて有効な「交渉材料」と見なしており、中国側から有利な条件を引き出すまでは安易にカードを切らない構えであると推察します。
さらに、政権内部での足並みの乱れも無視できません。5G関連技術は禁輸を維持する方針で一致しているものの、「安保上の脅威とならない汎用品」の定義が曖昧なままです。民主党のシューマー院内総務などからは、ファーウェイに対して妥協すべきではないとの厳しい批判も飛んでおり、トランプ氏の「取引優先」の姿勢が国内の政治対立を招いている側面も見逃せないポイントです。
翻弄されるグローバル企業とファーウェイの強気
この不透明な状況に、最も頭を悩ませているのは日米の民間企業です。Googleのソフトウェアが利用制限を受けたことで、NTTドコモが5Gスマホの採用を見送るなど、日本国内への影響も深刻化しています。半導体メーカーなどの供給側にとっても、巨大顧客であるファーウェイとの取引が停滞することは、収益面で大きな痛手となるのは避けられないでしょう。
対するファーウェイ側は、依然として強気な姿勢を崩していません。2019年11月19日の声明では、猶予の延長に関わらず事業への影響は限定的であると断言しました。梁華会長も、米国製部品に頼らずとも主力製品を供給できると豪語し、むしろ供給を断たれる米企業の方が損害は大きいと主張しています。技術の自立を急ぐ同社と、圧力を強める米国。この神経戦は、今後も世界経済を大きく揺さぶりそうです。
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