北海道札幌市の閑静な住宅街、円山エリアの路地裏に、静かに時を刻む古民家カフェがあります。その名は「森彦」。知る人ぞ知る名店として愛されてきたこのお店を運営するアトリエ・モリヒコが、今、大きな飛躍を遂げようとしています。2019年11月21日現在、同社は北海道内で13店舗を展開する実力派へと成長し、その独自の空間作りとコーヒーへの情熱で、多くのファンを魅了し続けているのです。
ネット上では「森彦のコーヒーを飲むためだけに札幌へ行きたい」「あの独特なアンティークの雰囲気がたまらない」といった声が溢れています。単なる飲食店としての枠を超え、訪れる人々に「充実した時間」を提供するその姿勢が、SNS世代からも絶大な支持を得ているのでしょう。元デザイナーという異色の経歴を持つ市川草介社長が生み出す世界観は、まさに唯一無二の芸術作品といっても過言ではありません。
こだわり抜いた「深煎り」の極意と品質への執念
森彦の代名詞とも言えるのが、コク深い「深煎り」コーヒーです。深煎りとは、コーヒー豆を長時間じっくりと焙煎することで、苦味とコクを最大限に引き出す手法を指します。北海道では寒冷な気候ゆえに、酸味よりも体が温まるような濃厚な味わいが好まれてきた歴史があるのです。市川社長は「生豆以上の品質は出せない」という信念のもと、自らアフリカや中南米の産地へ足を運び、納得のいく豆だけを厳選して買い付けています。
2019年9月からは、大手メーカーの味の素AGFと共同開発したレギュラーコーヒーが全国で発売されました。これにより、札幌の小さな喫茶店だったブランドは一躍全国区の知名度を獲得しています。5年前と比較して売上高が約2億円と倍増している背景には、徹底した品質管理と、巨大な焙煎機を導入した本社工場「プランテーション」でのこだわりがあるのは間違いありません。職人技が光る焙煎技術が、多くのリピーターを生んでいます。
2020年春、ついに中国へ!アジアから世界を見据える夢
森彦の挑戦は止まりません。2020年春には、初の海外拠点となる中国への出店が計画されています。市川社長は、手軽に飲めるファストコーヒーの流行がいずれ落ち着き、本物の一杯をゆっくりと楽しむ文化が求められる時代が来ると確信しているようです。この戦略は非常に鋭いと感じます。経済発展が進むアジア諸国において、心の豊かさを提供する「上質な空間」への需要は、今後ますます高まっていくはずだからです。
さらに、本州進出やアジア各国への展開を主導する子会社の設立も2020年中に予定されています。「良い都市には良いカフェがある」という社長の言葉通り、森彦が目指すのは単なる店舗拡大ではなく、その街の文化を彩る存在になることでしょう。ベトナムや台湾、さらには欧米までを見据えた壮大なビジョンは、日本の喫茶文化が世界を席巻する未来を予感させます。北海道から世界へ、深煎りの香りが広がる日はすぐそこまで来ています。
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