日本の観光業界が大きな転換期を迎える中、東急ホテルズの小林昭人社長は、今後の成長戦略として訪日外国人客、いわゆるインバウンド層の取り込みを一層強化する方針を打ち出しています。国内では少子高齢化の影響により、旅行需要の縮小が避けられないという厳しい現実があるからです。
こうした背景を踏まえ、小林社長は現在約3割に留まっている外国人客の比率を、早期に4割まで引き上げるという具体的な目標を掲げました。単に宿泊場所を提供するだけでなく、その土地ならではの付加価値をいかに創出できるかが、激化するホテル間競争を勝ち抜くポイントとなるでしょう。
文化を感じる「コト消費」へのシフトと独創的なホテル展開
小林社長が重視しているのは、食事やイベントを通じて地域の伝統や息吹を直接肌で感じられるホテル作りです。ただ豪華な設備を整えるのではなく、滞在そのものが旅の目的となるような「体験型」のサービスこそが、海外からの旅行者を惹きつける強力な磁石となります。
その象徴的な事例として、2019年11月1日に大阪で開業した「大阪エクセルホテル東急」が挙げられるでしょう。このホテルは日本初となる寺院の山門(寺院の正面にある門)と一体化した構造を持っており、その斬新な試みはSNS上でも「泊まるだけで徳が積めそう」「日本らしさを象徴するクールなデザイン」と大きな反響を呼んでいます。
編集者の視点から見ても、東急ホテルズのこの戦略は極めて合理的かつ挑戦的であると感じます。画一的なビジネスホテルが飽和状態にある中で、神社仏閣といった日本独自のコンテンツを宿泊体験に組み込む発想は、まさに外国人観光客が求めている「本物の日本」を突いた見事な一手といえるはずです。
2019年11月21日現在、ホテル業界はかつてない変革を迫られています。小林社長が描く「文化と宿泊の融合」が、今後の日本の観光立国化を支える重要なモデルケースになることは間違いありません。独自の魅力を磨き続ける同社の取り組みから、今後も目が離せそうにありませんね。
コメント