農林水産業を支える金融の要、農林中央金庫が2019年11月21日に発表した2019年4月から9月期の連結決算は、少々厳しい向かい風を感じさせる内容となりました。最終的な利益を示す純利益は、前年の同じ時期と比べて21%も減少した681億円に留まっています。この減益の主な要因は、海外でのビジネスに欠かせない「外貨」を手に入れるためのコストが増大したことに集約されるでしょう。
今回の決算を読み解く鍵は、アメリカの金融政策と市場のタイムラグにあります。2019年夏以降、アメリカの連邦準備理事会(FRB)は景気の下支えを目的として、金利を引き下げる「利下げ」を連続して実施しました。しかし、それ以前の段階で続いていた金利上昇の影響が尾を引いてしまい、結果として資金調達にかかったコストは3%増の6228億円という巨額な数字に膨らんでしまったのです。
ここで言う「資金調達コスト」とは、銀行が預金者からお金を預かったり市場から資金を借りたりする際に支払う、いわば「仕入れ代金」のようなものです。農林中金は巨大な資産を海外の債券などで運用していますが、そのためのドルを調達する費用が想定以上に高くなってしまいました。SNS上では「農家への影響はないのか」「運用のプロでも世界情勢に翻弄されるのか」といった、不安や驚きの声が広がっています。
編集者としての私見を述べさせていただきますと、今回の減益は一時的な「調整局面」である可能性が高いと考えています。FRBが緩和的な姿勢に転じたことで、今後は調達コストの低下が見込まれます。しかし、低金利環境が続く中での収益確保は容易ではなく、農業という日本の基盤を支える組織だからこそ、単なる運用のテクニックを超えた、持続可能なビジネスモデルの再構築が求められているのではないでしょうか。
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