食卓の未来を守る一石!農水省が「水産流通適正化法」で密漁・乱獲に歯止めをかける新制度を導入へ

私たちが普段何気なく口にしているお寿司や焼き魚が、近い将来「幻の食材」になってしまうかもしれません。そんな危機的な状況を打開するため、農林水産省は2019年11月26日、水産資源の保護を目的とした画期的な新制度の導入を決定しました。

この新たな規制の柱となるのが、魚介類の水揚げ場所や出荷日を公的に証明する「産地証明書」の義務化です。国が指定した特定の魚種や輸入品の取引に際し、この証明書がなければ国内での売買が事実上不可能になります。まさに、魚の「パスポート」が誕生するのです。

SNS上では「密漁が減るのは大歓迎」「スーパーの魚が安心して買えるようになる」といった期待の声が上がる一方で、「価格への影響が心配」といった消費者ならではのリアルな不安も入り混じり、非常に高い注目を集めています。

スポンサーリンク

深刻な資源枯渇と密漁の増加という現実

なぜ、ここまで厳しい規制が必要なのでしょうか。2015年時点のデータによれば、世界の水産資源の約3分の1が、回復が困難なほどに減少しています。新興国の消費拡大に伴う「乱獲」が、海のエコシステムを根底から揺るがしているのが現状といえるでしょう。

日本国内に目を向けると、2018年の漁業・養殖業の生産量は439万トンまで落ち込みました。これはピークだった1984年と比較すると、わずか3分の1という衝撃的な数字です。こうした中で追い打ちをかけているのが、法の網をかいくぐる密漁の問題です。

2017年の密漁検挙数は、20年前と比べて3割も増加しており、真面目にルールを守る漁師さんたちが馬鹿を見るような不公平な状況が続いてきました。現場からは「流通面で対策をしなければ密漁はなくならない」と、悲痛な叫びが上がっています。

デジタル証明書が守る「持続可能な漁業」の形

今回の新制度では、国や漁協が発行する証明書にICタグなどのデジタル技術を活用することも検討されています。不正を徹底的に排除し、適法に獲られた魚だけが食卓に届く仕組みを構築することで、水産資源の「トレーサビリティ」を確保します。

「トレーサビリティ」とは、食品の移動ルートを生産から消費まで追跡可能な状態にすることを指す専門用語です。これが確立されれば、私たちはその魚がいつ、どこで、誰によって獲られたものかを確信を持って知ることができるようになります。

まずは密漁リスクが高いナマコやアワビから着手し、将来的にはサンマやイカといった輸入魚種にも拡大される見通しです。農水省は2020年の通常国会に法案を提出し、2年程度の準備期間を経て運用を開始するスケジュールを描いています。

世界と歩調を合わせ、主導権を握る日本の役割

欧州連合(EU)では2009年から、米国や韓国でも一部の魚種ですでに同様の規制が導入されています。世界第3位の水産物輸入国である日本がこの輪に加わることは、国際的な乱獲抑制に向けた極めて強力なメッセージになるはずです。

私は、この規制は単なる事務手続きの増加ではなく、日本の食文化を次世代へつなぐための「必要不可欠なコスト」であると考えます。ルールを守る漁業者が報われ、消費者が納得して対価を支払う。そんな健全な循環こそが、豊かな海を取り戻す鍵となります。

食卓の魚が少し高くなる可能性は否定できませんが、海の恵みを食い潰すのではなく、賢く利用する時代へとシフトすべき時が来ています。2019年11月26日に示されたこの方針が、日本の海を再び活気づける一歩になることを切に願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました