アリババ香港上場がソフトバンクグループの救世主に?米中対立の裏で動く巨大マネーの正体

2019年11月26日、中国のEC最大手であるアリババ集団が香港証券取引所への重複上場を果たしました。米中貿易摩擦という荒波が押し寄せる中での決断でしたが、ふたを開けてみればアジア圏の投資家から熱烈な歓迎を受けています。この歴史的なイベントを誰よりも注視しているのが、同社の筆頭株主であるソフトバンクグループ(SBG)でしょう。

現在、SBGはアリババ株の約3割を保有しており、その時価総額は驚愕の13兆円規模に達しています。これはSBG自身の時価総額である8.8兆円を大きく上回る数字です。SNS上では「親会社より持株の方が価値が高いという歪な構造だが、それこそが孫正義氏の眼力の証明だ」といった驚きの声が相次いでおり、投資家たちの関心は最高潮に達しています。

SBGにとってアリババ株は、単なる投資先以上の存在といえます。彼らはこの膨大な株式を「担保」として活用し、巨額の資金を市場から引き出しているからです。担保とは、お金を借りる際の「保証」として預ける資産を指しますが、香港上場によって株価が底上げされれば、SBGの資金調達力、つまり財務基盤は一段と強固なものになるでしょう。

実は、SBGは現在、いくつかの課題に直面しています。シェアオフィス大手「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーの経営再建に向け、約6800億円もの新たな資金投入が必要となっているのです。また、次なる成長の柱である「ビジョン・ファンド」第2号への出資も控えており、手元資金の需要はかつてないほど高まっています。

こうした苦境の中で、2000年に孫正義氏がわずか20億円を投じたアリババ株が、今やグループの命運を握る「打ち出の小槌」となっている点は非常に興味深いと感じます。一部の投資先が不調に陥っても、圧倒的な含み益を持つ資産があるからこそ、次なる挑戦が可能になるという、リスクテイクの凄みを感じざるを得ません。

SBG幹部は「アリババのさらなる成長を確信しており、長期保有を継続する」と明言しました。香港市場での上場に伴い、90日間の売却禁止期間が設けられていますが、その期間が過ぎても手放す気配はありません。2019年9月30日時点での借入残高は約9533億円にのぼりますが、アリババ株の価値が維持される限り、その足元は揺るがないはずです。

個人的な見解としては、今回の香港上場は米中対立に対する「守りの一手」であると同時に、SBGにとっては攻めのための「盾」になったと見ています。米国の市場だけでなくアジアでも評価されることで、特定の国の政治リスクを分散できるからです。巨額の赤字や不調が囁かれるSBGですが、この強力な資産背景がある限り、反撃のチャンスは十分にあるでしょう。

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