日本を代表する自動車メーカーから、衝撃的なニュースが飛び込んできたのです。2019年11月12日、日産自動車は2020年3月期の連結純利益が前の期と比べて66%も減少する見通しだと明らかにしました。
当初の予想から大きく落ち込み、最終的な利益は1100億円にとどまる見込みと言えるでしょう。この数字は2010年3月期以来、実に10年ぶりの低い水準であり、かつての勢いに陰りが見え始めているのは間違いない事実です。
業績悪化の裏にある世界的な販売不振と円高
このような厳しい状況に陥った主な要因は、主戦場である北米市場をはじめとするグローバルな販売が低迷していることに尽きます。今期の世界販売台数の見込みは当初より30万台少ない524万台へと引き下げるという苦渋の決断を下しました。
中国市場だけでなく、日本国内やヨーロッパなど主要な地域全般で目標を下げざるを得ない事態となっているのです。それに加えて、為替相場が想定よりも円高に推移していることも大きく収益を圧迫し、利益を削り取っています。
ここで為替の影響について少し説明させてください。円高とは、外国の通貨に対して日本円の価値が相対的に高くなる状態のことです。海外で車を売って得たドルなどの外貨を日本円に換算する際、円高だと受け取れる金額が少なく計算されてしまいます。
日産は業績の前提となる為替レートを1ドル=107円へと見直す変更を余儀なくされました。新興国の通貨も下落傾向にあり、為替の影響だけで利益が800億円も吹き飛んでしまう計算になるのは大打撃となるでしょう。
ゴーン体制の負の遺産と重くのしかかる固定費
なぜ、ここまで販売が落ち込んでいるのか疑問に思う方もいらっしゃるはずです。その背景には、カルロス・ゴーン元会長時代に推し進められた過度な拡大路線の反動が挙げられます。
当時はアメリカ市場などで「販売奨励金」を多額に投入して販売台数を伸ばしていた時代がありました。販売奨励金とは、メーカーが販売店に支払う報奨金のことで、消費者から見れば実質的な値引きを意味するものです。
これにより、過去最高の利益を叩き出したという過去を持っています。しかし、ブランドの価値をすり減らすこの手法は、決して長続きするものではありませんでした。
アメリカでの市場拡大が止まった現在、工場などの設備維持費や人件費といった、売上の増減に関わらず必ず発生する「固定費」の重さが露呈する形となりました。これが利益を急減させている根本的な原因となっています。
株主への影響とSNSでの嘆きの声
この深刻な業績不振は、投資家にも大きな痛手を与えている状況です。同日に発表された2019年4月~9月期の決算も減収減益という厳しい結果を突きつけられました。
これに伴い、未定とされていた中間配当は前年より大幅に低い10円へと引き下げられ、年間配当の計画に至っては完全に取り下げられたのです。
インターネット上でも動揺が広がっており、SNSでは「高配当目当てで株を持っていたのにショックが大きすぎる」「ゴーン問題から完全に負のスパイラルに陥っている」といった厳しい意見が飛び交っているのが実態です。
抜本的な改革が急務となる今後の展望
次期最高財務責任者に就任するスティーブン・マー氏は、横浜市で開催された会見にて、事業改革と収益力の回復に向けた取り組みが道半ばであるとの見解を示しています。確かに外的要因はありますが、それ以上に内部の構造的な問題は重症だと言えるでしょう。
一人のメディア編集者としての意見を述べさせてもらえば、今の日産には小手先の対応ではなく、企業体質そのものを根本から生まれ変わらせるほどの痛みを伴う改革が必要不可欠だと確信しております。
過去の栄光や拡大路線という幻影から脱却し、強固なブランド力を再び築き上げることができるのか。日本の自動車産業の行く末を占う上でも、名門復活に向けた日産の今後の動向からは目が離せない展開が続きます。
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