2019年10月、リチウムイオン電池の開発に貢献した吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞するという、日本中が沸き立つ明るいニュースが飛び込んできました。この偉業の裏側で、旭化成を率いる小堀秀毅社長は、激動する現代社会を勝ち抜くための確固たるビジョンを語っています。SNSでは「日本の技術力の底力を見た」「持続可能性をどう収益に変えるのか興味深い」といった、同社の今後の経営戦略に期待を寄せる声が数多く上がっているのです。
小堀社長が経営の根幹に据えているのは、事業が「持続可能な社会に貢献できるかどうか」という極めてシンプルな判断基準です。現在は「環境・エネルギー」「モビリティ」「ヘルスケア」を含む5つの重点分野に力を注いでおり、社会課題の解決こそが収益の源泉になると確信しています。貢献によって得た利益を再び研究開発へ投資し、次なる新規事業を芽吹かせるという、循環型の成長サイクルを構築することがリーダーの責務であると考えているのでしょう。
モビリティの変革とブラックボックス化の戦略
これからの成長を牽引する主役として期待されているのが、自動運転や電動化が加速するモビリティ分野です。自動車の生産台数自体は横ばいになる可能性もありますが、車両の「中身」が変わる変革期には、旭化成が誇る高機能な内装材などの需要がさらに高まるでしょう。私は、既存の市場規模に固執せず、技術革新が生む新たな価値に目を向ける小堀社長の鋭い観察眼こそが、今の製造業に最も必要な資質であると感じてやみません。
また、昨今注目を集める「マテリアルズ・インフォマティクス(AIを用いた材料開発効率化)」の活用も急いでいます。しかし、小堀社長は単なる開発のスピードアップだけでは優位性を保てないと警鐘を鳴らしています。真の競争力は、開発した素材に最適化された「生産プロセス」を構築し、それを外部から容易に模倣できない「ブラックボックス」にすることにあります。技術の囲い込みと効率化の両立こそが、世界をリードする鍵となるはずです。
地球規模の課題に挑む環境投資と具体的な目標
旭化成の挑戦は製品開発にとどまらず、インフラそのものを変革するダイナミックなフェーズに突入しています。2030年度までに売上高当たりの温暖化ガス排出量を2013年度比で35%削減するという、野心的な数値目標を掲げました。宮崎県延岡市にある創業の地の水力発電所を高出力タイプへ改修するほか、石炭火力からLNG発電への転換を進めるなど、脱炭素社会の実現に向けて企業としての社会的責任を全力で全うしようとしています。
こうした取り組みを資金面で支えるため、2020年度には環境対策に特化した資金調達手段である「グリーンボンド」を200億円規模で発行する方針を固めました。財務と環境戦略を一体化させるこの手法は、投資家からも熱い注目を集めるに違いありません。単なる理想論ではなく、具体的な資金計画と設備投資を伴う小堀社長の実行力からは、100年先を見据えた真のリーダー像が透けて見えるようです。
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