2019年12月02日、ホワイトハウスは緊迫した空気に包まれながらも、どこか余裕を感じさせるトランプ米大統領の言葉に注目が集まりました。自らが署名した「香港人権・民主主義法」が、難航する中国との通商交渉に影を落とすのではないかという懸念が広がっています。この法律は、香港の自治が守られているかを米国が毎年検証し、人権侵害に関与した人物に制裁を科すことを可能にする極めて強力なものです。
記者団から貿易協議への影響を問われたトランプ氏は、「プラスにはならないが、様子をみよう」と冷静に答えました。中国側はすでに米軍艦の香港寄港を禁止するなどの対抗措置を打ち出していますが、大統領はこれに過剰な反応を示していません。むしろ「中国は合意を望んでいる」と強調し、交渉の主導権を握っていることをアピールしています。SNSでは「トランプ流の駆け引きだ」と驚く声や、市場への影響を不安視する投稿が相次ぎました。
一方でポンペオ米国務長官も2019年12月02日、ケンタッキー州での対談において習近平政権を強く牽制しました。中国の指導部に対し、香港に約束された「一国二制度」を厳格に守るよう改めて要求したのです。一国二制度とは、中国という一つの国の中に、資本主義の香港と社会主義の本土が共存する特別な仕組みを指します。自由な経済活動を支えるこの前提が崩れれば、国際社会の信用は失墜しかねません。
筆者の視点では、現在のトランプ政権の態度は、外交的な圧力と経済的な利益を天秤にかける高度な政治的パフォーマンスに見えます。人権問題をカードにしつつ、実利である貿易合意も手放さないという、強気な姿勢が鮮明です。しかし、この綱渡りの交渉が長引けば、世界経済全体の不透明感が増すのは避けられません。人権と経済、どちらも譲れない正念場において、米中両国がどのような着地点を見出すのか、今は静かに推移を見守るべきでしょう。
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