北海道を代表する名峰として親しまれている羊蹄山は、その優美なシルエットから「蝦夷富士」という愛称で多くの人々に愛されています。2019年12月03日現在、この山を独自の視点で捉えた名画が注目を集めているのをご存知でしょうか。日本画家の片岡球子氏が手掛けた「羊蹄山の秋色」は、私たちが普段目にする静かな山のイメージを根底から覆すような、力強いエネルギーに満ちあふれた一作です。
本作は、もともと北海道の銀行からカレンダーの原画制作を依頼されたことがきっかけで誕生しました。当時の球子氏は、自身の代表作である「面構(つらがまえ)」シリーズを描き上げた直後で、心身ともに疲労が色濃く残る状態だったといいます。面構とは、歴史上の人物の魂を独自の解釈で描く彼女の代名詞的な連作ですが、その大仕事を終えてなお、彼女の創作意欲が衰えることはありませんでした。
彼女は疲れを癒やす間もなく、防寒着に身を包み、風呂敷に包んだ画材を抱えて飛行機へと飛び乗りました。現地へ向かうその情熱こそが、作品に宿る圧倒的な存在感の源泉と言えるでしょう。SNS上でも「球子先生の山は生きているようだ」「色の使い方が大胆で元気をもらえる」といった声が上がっており、時代を超えて多くの人々の心を揺さぶり続けていることが伺えます。
常識を打ち破る「型破り」な表現の凄み
一般的に羊蹄山といえば、支笏洞爺国立公園に位置する美しい円錐状の成層火山を思い浮かべるはずです。成層火山とは、噴火によって溶岩や灰が積み重なり、綺麗な円錐形になった火山のことを指します。しかし、球子氏の筆によって描かれた山容は、まるで大地から力強く突き上げられた拳のように猛々しく、見る者を圧倒する独特のフォルムを形作っています。
山裾を彩るのは、まるで錦織のように鮮やかな樹々たちです。秋の深まりを感じさせる濃密な色彩は、厳しい冬を前にした生命の輝きを象徴しているかのようでしょう。私は、これほどまでに山の「呼吸」を感じさせる日本画は他にないと考えています。写実的な美しさを超え、画家が現地で肌に感じた風や土の匂いまでもが、このキャンバスの中に凝縮されているのではないでしょうか。
片岡球子氏のスタイルは、かつて「ゲテモノ」と評されたこともありましたが、それは既存の日本画の枠に収まらない革新性の裏返しでもあります。伝統を重んじつつも、自分の感性に嘘をつかないその姿勢が、この「羊蹄山の秋色」にも色濃く反映されています。2019年12月03日の今、改めて彼女の作品に向き合うことで、私たちは困難に立ち向かう勇気を受け取ることができるはずです。
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