北関東の風景を象徴する存在といえば、広大な敷地を誇るカワチ薬品ではないでしょうか。かつて「メガ・ドラッグストア」という画期的なスタイルを確立し、業界を牽引してきた同社が、今まさに大きな変革の時を迎えています。
2019年12月03日現在、カワチ薬品は単なる物販の場を超えた「地域のヘルスケア拠点」への進化を加速させています。SNS上では「カワチの駐車場に直売所があって便利」「薬をもらうついでに用事が済む」といった、生活に密着した利便性を評価する声が広がっています。
駐車場が街に変わる?驚きのテナント戦略
多くの競合他社が年間100店舗近いペースで大量出店を強行する中、カワチ薬品はあえて独自の道を歩んでいます。2019年3月期の純増店舗数はわずか5店舗。この数字の裏には、既存の店舗をじっくりと育てるという同社の強いこだわりが隠されているのです。
その象徴的な取り組みが、広すぎる駐車場を有効活用したテナント誘致です。例えば宇都宮市の戸祭北店では、数百台規模の敷地に歯科クリニックや人気の野菜直売所が並びます。これにより、カワチは賃料収入を得るだけでなく、生鮮食品の弱点を補い、顧客の回遊性を高めることに成功しました。
さらに、高い専門性が求められる「調剤薬局」の併設も全店舗の3分の1で完了しています。調剤薬局とは、医師の処方箋に基づき薬剤師が薬を調剤する施設のことですが、これを店舗内に持つことで、健康の悩みをワンストップで解決できる「頼れる存在」としての地位を固めているのでしょう。
迫りくる九州の雄「コスモス薬品」との決戦
しかし、市場の環境は決して楽観視できるものではありません。北陸から進出してきたクスリのアオキによるポイント攻勢や、2020年春に予定されている九州の雄・コスモス薬品の関東上陸など、まさに「ドラッグストア戦国時代」が到来しようとしています。
デジタル対応の遅れやPB(プライベートブランド)商品の手薄さを指摘する専門家の意見もありますが、私はカワチ薬品の「泥臭い地域密着」こそが、最終的な勝機に繋がると確信しています。大型店だからこそできる、ゆとりある店舗設計は、高齢化社会において大きなアドバンテージになるはずです。
旗艦店31店舗に設置された健康測定機器や、薬剤師による相談会は、ネット通販では決して代替できない価値を提供しています。「戦ってみたい」と語る同社の意欲は、創業者から受け継いだ「顧客第一主義」の火を絶やさないという決意の表れだと言えるでしょう。
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