2019年4月、大規模小売店舗立地法、通称大店立地法(だいてんりっちほう)に基づき、全国で多数の新規出店計画が届け出されました。これは、床面積1,000平方メートルを超える大規模な小売店舗を新設する際、その地域環境への影響を考慮し、交通や騒音、廃棄物処理などの対策を届け出ることを義務付けた法律のことです。この届け出の状況を分析することで、小売業界がどの地域に、どのような業態で、どれほどの規模の店舗展開を計画しているかという、活発な出店戦略の最前線が見えてくるのです。
特に目を引くのは、ドラッグストア(DgS)や食品スーパー(SM)といった、日常の生活に密着した業態の積極的な展開です。例えば、北海道ではツルハドラッグ本町2条店(開店予定日:11月25日)や、コープさっぽろ新琴似店(開店予定日:11月12日)の計画が浮上しています。また、関東地方では埼玉県にヤオコー所沢有楽町店(開店予定日:12月19日)、千葉県にフォルテ白井(核テナント:ベルク、開店予定日:12月6日)、そして富山県では射水鷲塚ショッピングセンター(核テナント:マックスバリュ北陸、開店予定日:11月15日)など、各地域で地域の消費を支えるSMの出店が予定されている模様です。
これらの届け出から、私はDgSとSMの「生活圏シェア争奪戦」が激化しているという印象を受けました。DgSはヘルスケアやビューティケア商品だけでなく、食品や日用品の品揃えを強化し、SMの領域に深く踏み込んできています。石川県ではドラッグコスモス山代温泉店(開店予定日:12月10日)、静岡県では杏林堂薬局浜北小松店(開店予定日:12月20日)や杏林堂新所原店(開店予定日:12月27日)など、DgSの届け出が目立ちます。これらの店舗はいずれも総店舗面積が1,500平方メートルを超えており、小型のスーパーマーケットに匹敵する規模の売り場を持つことが伺え、集客力も高まりそうです。
首都圏・東海・地方の大型施設計画と注目業態
また、大規模な商業施設や複合施設の計画も注目に値します。東京都内では、豊洲2-1街区商業施設計画(開店予定日:2020年4月1日)が総店舗面積6,174平方メートル、新宮下公園等整備事業(開店予定日:2020年3月1日)が同7,913平方メートルと、都心の一等地での大型開発が進行中です。これらは未だ核テナントが未定であるものの、その規模と立地から、都心の新たなランドマークとなることが期待されますね。
さらに、地方都市ではイオンタウン各務原鵜沼(岐阜県)がA・B・Cの3つのゾーンに分かれて届け出されており、合計で1万平方メートルを超える広大な敷地での開発が計画されています(開店予定日:11月27日)。これは、ディスカウントストア(DS)のイオンビックを核テナントに据えた、地域広域からの集客を狙うロードサイド型の大型ショッピングセンターとして、地域の商業地図を塗り替える可能性を秘めています。
その他にも、ホームセンター(HC)業態では、神奈川県のコーナンPRO鶴見獅子ケ谷店(開店予定日:12月19日)や、静岡県のハードストック富士(核テナント:エンチョー、開店予定日:12月27日)といった、プロユースにも対応する専門性の高い店舗の届け出も見られました。一方、中古車販売店などの各種専門大店(SS)業態では、群馬県のネッツトヨタ群馬前橋こじまた店、千葉県のネクステージ千葉幕張店、静岡県のガリバーアウトレット浜松宮竹店など、自動車関連の出店も堅調で、消費者のライフスタイルに合わせた多様な小売店舗のニーズが存在することが確認できます。
SNS上では、特に都心部の再開発や大型SCの計画に対して、「あの場所に何ができるのか」「(自宅近くの)新しいお店ができて便利になる」といった期待の声が多く見受けられました。この2019年4月の届け出は、生活インフラを支えるDgSやSMのドミナント戦略(一定地域内に集中的に出店する戦略)、そして地域活性化の核となる大型商業施設の開発が、小売業界の今後の成長を牽引していくことを示唆していると言えるでしょう。
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