目薬やスキンケア製品で知られるロート製薬が、人々の五感に訴えかける新たな挑戦をスタートさせました。同社は2019年05月に香りの研究専門施設「ベレアラボ」を設立し、空間そのものを演出する香りビジネスに本格参入しています。これは単なる芳香剤の提供ではなく、最新の科学的知見に基づき、その場所に最適な「香り」をオーダーメイドで調合する画期的な試みなのです。
このプロジェクトを監修するのは、世界的な調香師として名高いクリストフ・ロダミエル氏です。彼は「ラルフローレン」といった一流ブランドの香水を手掛けてきた、いわば香りの魔術師とも呼べる存在でしょう。ロート製薬は彼の感性と自社の研究力を融合させ、小売店やオフィスなど、特定の場所が抱える課題を「香り」の力で解決しようと試みています。こうした企業の姿勢には、従来のメーカーの枠を超えたワクワク感を感じずにはいられません。
注目の第1弾として、2019年07月01日からドラッグストア大手のトモズ池尻大橋店において、独自の香りを導入した実証実験が始まりました。用意された香りの名称は「モダントラストナンバー10」です。この香りは、店舗を訪れる健康な方はもちろん、体調に不安を抱えて来局される方も含め、すべての消費者が安心して過ごせる空間を目指して開発されました。買い物中に心がふっと軽くなるような、そんな優しい魔法のような効果が期待されています。
科学と感性が融合した「感性評価」とSNSの反響
今回トモズに導入された香料には、爽やかなオレンジや、南国の花から抽出される甘くエキゾチックな香りが特徴の「イランイラン」などが配合されています。イランイランは、古くから緊張を和らげるリラックス効果があることで知られる成分ですね。店頭では、香料を細かい霧状にして拡散させる「ディフューザー」と呼ばれる専用の噴霧装置を入り口付近に設置し、来店客を心地よい香りで出迎えています。
特筆すべきは、その香りの選定プロセスでしょう。彼らは仮想現実(VR)を活用して店内の雰囲気を再現し、どのような香りが最も店舗のコンセプトに合致するかを判定する「感性評価」を実施しました。これは、人間がその香りに対して直感的にどう感じたかを数値化・客観化する手法です。SNS上でも「ドラッグストアなのに高級ホテルのような香りがして驚いた」「病院特有のにおいが苦手なので、こうした取り組みは嬉しい」といった好意的な意見が目立ち始めています。
また、トモズでは店内のエリアごとに香りの濃度を細かく調整しています。特に、薬剤師が薬を調製する調剤エリアでは、体調が優れない方への配慮から、香りが強くならないよう配慮されているのです。こうした細やかな気配りこそが、ブランドへの信頼感を高める鍵になるのではないでしょうか。単に良い香りを漂わせるだけでなく、そこに集う人々の心情にまで寄り添おうとする姿勢には、編集部としても非常に感銘を受けます。
スポーツやオフィスへ広がる!香りが変える未来のライフスタイル
ロート製薬の野望は、店舗の空間演出に留まりません。同社は既に、福島県を拠点とする社会人サッカーチーム「いわきFC」と提携し、スポーツの現場でも香りの検証を開始しました。2019年07月05日現在、選手の控室に特定の香りを導入し、試合前後の気分や疲労回復にどのような変化が生まれるかを確認しているそうです。勝利を目指すアスリートたちのメンタルケアに香りが貢献する日は、そう遠くないかもしれません。
さらに、一般企業のオフィス環境からも熱い視線が注がれています。働き方改革が叫ばれる昨今、社員の集中力を高めたり、打ち合わせの場を和ませたりするために「オリジナルの香りが欲しい」という要望が相次いでいるのです。今後は採用会場のエントランスなど、企業の第一印象を左右する重要な空間にも、この技術が応用されていくことでしょう。視覚や聴覚だけでなく、嗅覚を通じたブランディングが当たり前の時代がやってくるはずです。
これまで香りと無縁だった場所が、ロート製薬の技術によって価値ある空間へと生まれ変わろうとしています。インターネットメディアの視点から見ても、形のない「香り」をビジネスにするこの試みは、デジタル化が進む現代だからこそ求められる、五感を満たす究極のサービスだと言えるでしょう。トモズでの試みが口コミで広がり、全国のあらゆる場所で「心地よい香り」に出会える未来が、今から非常に楽しみでなりません。