「コンクリート」と「ドローン」。一見すると水と油のように思えるこの二つのキーワードが、北海道・苫小牧の地で劇的な融合を果たそうとしています。2019年5月28日、コンクリート製品大手の会沢高圧コンクリートが、ドローン事業への本格参入を発表しました。しかもそのパートナーは、世界最高峰の知能が集う米マサチューセッツ工科大学(MIT)発のスタートアップ企業だというから驚きです。
同社はMIT発のベンチャー、トップ・フライト・テクノロジーズ(TFT)と提携し、2020年から大規模農地の管理サービスを開始するといいます。重厚長大な産業の代表格ともいえるコンクリート企業が、なぜ最先端の「空の産業」へと翼を広げるのか。その背景には、日本の地方が抱える課題と、それを打破するための明確な勝算がありました。
「15分の壁」を突破するハイブリッド技術
今回導入されるドローンは、ただの空撮用おもちゃではありません。特筆すべきは、その動力源です。一般的なドローンはバッテリー駆動で、飛行時間はせいぜい15分程度というのが業界の常識でした。しかし、TFT製のドローンはガソリンエンジンで発電しながらモーターを回す「ハイブリッド方式」を採用しています。
これにより、最大10キログラムもの荷物を積んだまま、なんと1時間にわたって飛び続けることが可能なのです。エンジンの振動を抑える高度な制御技術も搭載されており、まさに「空飛ぶ発電所」とも言えるパワフルな機体です。広大な北海道の農地をカバーするには、この長距離飛行能力が必要不可欠だったのでしょう。
SNSでの反響とコラムニストの視点
この異色のニュースに対し、SNS上では「堅いイメージのコンクリート会社がここまで攻めるとは」「北海道の農業における人手不足解消の切り札になるかもしれない」といった、驚きと期待が入り混じった声が上がっています。特に、ガソリンを使ったハイブリッド駆動という点に、メカ好きやガジェットファンからの熱い視線が注がれているようです。
私自身、この戦略は非常に理にかなっていると感じます。会沢高圧コンクリートは元々、用水路などの製品を通じて農業分野に販路を持っています。その既存ルートを活かしつつ、まずは農業でノウハウを蓄積し、将来的には本業であるインフラ維持へと繋げる。この「二段構え」の構想こそが、老舗企業の底力と言えるのではないでしょうか。
狙うは「空からのインフラ補修」
同社の見据える未来は、農薬散布だけではありません。真の狙いは、老朽化した道路や橋、送電線といった社会インフラの維持管理です。従来のドローンは「見る(点検)」ことしかできませんでしたが、重い荷物を運べるこの新型機ならば、補修材を積んでコンクリートを吹き付けるといった「作業」が可能になります。
国土交通省もドローンの活用要件を緩和しつつあり、調査会社インプレスの予測では、2024年度の国内ドローン市場は5000億円規模に達すると言われています。人手不足に悩む建設・農業現場に現れたこのハイテクな救世主が、令和の北海道をどう変えていくのか。異業種タッグが描く未来地図に、今後も注目していきたいと思います。
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