日本が誇るSF漫画界の巨匠、松本零士先生が、ついに日本の地を踏みました。2019年12月05日の午前、成田空港に到着したその姿に、多くのファンが安堵の吐息を漏らしたことでしょう。車いすに揺られながらも、報道陣の前に現れた先生の表情はどこか晴れやかで、長旅の疲れを感じさせない力強さが宿っていました。
体調について問われると、松本先生は「極めていいです」と力強い言葉を残されています。さらに「やはり自分の国に帰ってこられるのは、何よりも嬉しいことだ」と語り、母国への愛着を滲ませました。81歳というご年齢を考えれば、異国の地での入院生活は想像を絶する不安があったはずですが、それを乗り越えた精神力には驚かされるばかりです。
事の始まりは、2019年11月15日のことでした。松本先生はイタリア北部の街トリノを訪問中に、突如として体調不良を訴え、現地の病院へ緊急搬送される事態に見舞われました。診断の結果、肺の組織に炎症が起き、呼吸が苦しくなる「肺炎」などを患っていることが判明したのです。一時は重篤な状態も懸念されましたが、懸命な治療が実を結びました。
現地の医療スタッフによれば、幸いにも治療の経過は非常に良好で、2019年12月04日には無事に退院許可が下りたそうです。このニュースがSNSで拡散されると、世界中のファンから「メーテルの加護がありますように」「ハーロックのように不屈の精神で戻ってきて!」といった熱いエールが殺到し、国境を越えた人気の高さが改めて証明されました。
イタリアを魅了した40年の絆と執念の生還
そもそも、なぜ松本先生はイタリアへ向かったのでしょうか。実は、先生の代表作である『宇宙海賊キャプテンハーロック』のアニメ放送がイタリアで開始されてから、ちょうど40周年という記念すべき節目を迎えていたのです。その祝賀イベントに出席するため、先生は長距離移動を伴う強行軍を厭わず、トリノの地を訪れていました。
自身の作品を愛してくれる海外のファンのために、体力の限界に挑むその姿勢には、一人のクリエイターとしての凄まじい矜持を感じずにはいられません。松本作品に一貫して流れる「遠く時の輪の接する処でまた会おう」というロマンあふれるメッセージを、先生自らが体現されたかのような、ドラマチックな生還劇と言えるのではないでしょうか。
私個人の意見としては、今回の帰国劇はまさに「奇跡」ではなく、松本先生の「生きる執着心」が手繰り寄せた勝利だと確信しています。80代を超えてなお、現役の表現者として海を渡るバイタリティには敬服するばかりです。肺炎という重い病を克服された今、まずはゆっくりと静養され、再び夢のある物語を紡いでくださることを願います。
インターネット上では、帰国のニュースを受けて「おかえりなさい、キャプテン!」という祝福の声がタイムラインを埋め尽くしています。松本先生が描く星々の物語は、まだ終わることはありません。再び日本でその健勝な姿を拝見できる喜びを噛み締めつつ、私たちは巨匠の次なる航海を心待ちにしたいところですね。
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