総合物流の大手として知られる山九が、いわゆる「就職氷河期世代」を対象とした大規模な採用プロジェクトを始動させました。2019年12月05日現在の発表によれば、30代半ばから40代半ばの方々をターゲットに、2022年までの3年間で合計300名という、かつてない規模の採用枠を設ける方針です。
これまでの中途採用では即戦力となる経験者が重視されてきましたが、今回は未経験者にも広く門戸を開放しています。SNS上では「ついに大手が動いた」「救済だけでなく戦力として見てくれるのが嬉しい」といった、期待と驚きの声が広がっています。社会的な課題に真っ向から取り組む同社の姿勢は、多くの人々の心を打っているようです。
「付け焼き刃」ではない、管理職登用も見据えた本気のキャリア支援
山九は2019年09月から、全国50カ所の拠点でハローワークを通じた募集を開始しました。求人票には「正規雇用に恵まれなかった方を積極募集」という力強いメッセージが刻まれています。10月末時点で早くも31名の応募があり、すでに4名の採用が決定するなど、具体的な成果が出始めています。
中村公大社長は、単なる数合わせの補強ではないことを強調しています。能力次第では現場責任者や課長といった管理職への登用も約束されており、これは「やり直しのきく社会」を体現する試みと言えるでしょう。私個人としても、年齢を理由に可能性を閉ざすのではなく、個人の資質を評価するこの決断は、日本企業の在り方を一変させる一石になると確信しています。
手厚い教育体制が支える、一生モノの「国家資格」獲得への道
ここで注目すべきは、同社の圧倒的な育成力です。「プラント」と呼ばれる巨大な産業設備の設計や点検を行う山九は、千葉県と福岡県に自社専用の研修施設を保有しています。採用者は数カ月間、溶接やクレーン操作といった専門技術を、座学と実技の両面からじっくりと習得することができるのです。
さらに、通関士や配管技能士などの国家資格取得にかかる費用は、山九が全額負担するというから驚きです。専門用語である「通関(つうかん)」とは、輸出入の際に必要な税関手続きのことですが、この資格を持つことで物流のプロとしての市場価値は飛躍的に高まります。こうした「一生モノのスキル」を身に付けられる環境は、未経験者にとって最大の安心材料となるでしょう。
深刻な人手不足を背景に、日本的慣行を打破する逆転の発想
現在、物流業界やプラント保全の現場では人手不足が深刻化しています。2019年春の新卒採用でも計画の7割程度にとどまるなど、若手人材の確保は困難を極めています。こうした危機感から、中村社長は「従来の日本的慣行にとらわれない採用」が必要だと決断を下しました。
バブル崩壊後の不況により、1993年から2004年ごろに卒業した世代は、実力がありながらも正社員の機会を奪われてきました。育成コストをかけてでもこの層を正社員として迎えることは、企業にとって中長期的な安定に繋がる賢明な投資です。この山九の挑戦が、停滞する日本経済に新しい風を吹き込むことを切に願ってやみません。
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