自動車業界が100年に一度の変革期を迎える中、部品メーカー大手のアイシン精機が次世代の鍵を握るAI戦略を加速させています。同社は2019年12月5日、福岡市内に人工知能(AI)に特化した新たな研究開発拠点「九州開発センター 博多ラボ」を設立することを発表しました。東京都内に続く国内2カ所目のAI拠点として、最先端技術の創出を担うことが期待されています。
今回の新拠点開設は、激化するAIエンジニアの獲得競争を勝ち抜くための戦略的な一手といえるでしょう。利便性の高い博多駅近郊にオフィスを構えることで、優秀なデジタル人材を広く募る狙いがあります。ネット上では「大手メーカーが地方都市に拠点を構えることで、優秀な層の流出が止まる」「博多がテック都市としてさらに盛り上がる」といった、地元からの歓迎や期待の声が数多く寄せられました。
AIによる画像解析が変える「安全」と「効率」のカタチ
2020年5月より17名体制でスタートする「博多ラボ」の主な任務は、高度な画像解析を用いたソフトウェア開発です。これはカメラが捉えた映像から、車両の周囲にいる歩行者や障害物を瞬時に特定する技術などを指します。さらに、運転者の表情や視線を追跡して体調不良や居眠りを検知する「ドライバーモニター」機能の研究も進められる予定で、交通事故を未然に防ぐ重要な役割を担うことになります。
ここで注目すべき「画像解析」という専門用語は、コンピュータが映像の内容を理解し、特定のパターンや意味を抽出する技術のことです。アイシン精機はこの力を、単なる車載システムに留めず、自社の工場における生産効率の向上にも転用しようと考えています。AIが製造ラインのわずかな違和感を検知することで、より高品質でミスのないモノづくりが可能になる未来がすぐそこまで来ているのでしょう。
ハードとソフトの融合が加速する九州のモノづくり拠点
アイシン精機はすでに2014年に北九州市で「九州開発センター」を稼働させており、現在は26名体制で運用しています。既存の北九州拠点が物体検知センサーなどのハードウェア開発を担うのに対し、新しい博多ラボは知能を司るソフトウェア開発に特化するという明確な役割分担がなされています。物理的な「モノ」と論理的な「知能」が福岡の地で高度に融合していく姿は、まさに現代のDXを象徴しています。
今回の設立に際し、アイシン精機は2019年12月5日に福岡県および福岡県産業・科学技術振興財団との立地協定を締結しました。個人的な見解としても、企業が行政と手を取り合い、地域に根差した研究を行うことは、持続可能な産業発展において非常に理にかなった選択だと感じます。地方の学生やエンジニアにとって、世界的なメーカーの最先端プロジェクトに地元で携われる機会が増えるのは、非常に喜ばしいニュースといえるでしょう。
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