横浜銀行が2019年11月15日に発表した2019年4〜9月期決算では、個人向けのアパートローンが非常に力強い伸びを見せています。貸出金の期末残高を紐解くと、個人やその資産管理会社向けが前年同期比で4.5%も増加しており、同行の収益を支える大きな柱となりました。大矢恭好頭取も、この分野が住宅ローンを凌ぐ勢いで成長していることに強い期待を寄せています。
この活況の背景には、将来を見据えた相続税対策や、資産を効率的に守るための「資産管理」への意識向上が挙げられるでしょう。SNS上でも「低金利を活かした不動産投資への関心は依然として高い」といった声や、「地方銀行の底力を感じる」という意見が目立っています。自身の資産を次世代へ円滑に引き継ぐための手段として、不動産活用を選択する人々が着実に増えている印象を強く受けます。
中小企業融資の現状と投資マインドの冷え込み
一方で、中小企業向けの融資に目を向けると、そこには慎重な姿勢が見え隠れしています。期末残高自体は2.4%増の3兆7616億円と一見堅調ですが、この数字には前述した資産管理会社によるアパートローンが多く含まれているのが現実です。それらを除いた純粋な事業資金としての融資額は0.7%増という微増にとどまっており、企業の積極的な投資には至っていない実態が浮き彫りとなりました。
この伸び悩みの要因として、不動産価格の高騰や深刻な人手不足が、企業の設備投資を阻むハードルとなっているようです。せっかく資金を借りようとしても、コスト高で収益が見通せないというジレンマがあるのでしょう。編集部としては、こうした実体経済の停滞を打ち破るには、単なる資金提供だけでなく、人手不足を解消するDX支援などの付加価値提案が今後の銀行に求められるのではないかと考えます。
また、投資商品の動向も興味深い結果となりました。保険商品は好調を維持していますが、投資信託(投資家から集めた資金を運用のプロが株や債券に投資する商品)については解約が上回る展開です。株価の上昇局面で利益を確定させようという投資家の冷静な判断が働いた形でしょう。大矢頭取も、相場が良い時期に売却を優先する顧客心理を的確に分析しており、投資スタイルが成熟している様子が窺えます。
千葉銀行との提携が拓く新たな営業戦略
今後の成長戦略として注目されるのが、千葉銀行との業務提携「千葉・横浜パートナーシップ」の本格始動です。店舗の効率化に向けた投資などで経費は2%増の510億円となりましたが、これは攻めのための先行投資と言えます。今後は両行が顧客を相互に紹介し合うことで営業エリアを拡大し、単独では難しかった広域的な本業利益の拡大を目指していく構えです。
地銀同士が手を取り合うこの動きは、業界の再編を象徴する象徴的な取り組みであり、神奈川と千葉という巨大マーケットが繋がることによる相乗効果は計り知れません。既存の枠組みにとらわれず、いかに新しいビジネスチャンスを創出できるかが、横浜銀行の次なるステップの鍵を握るはずです。地域経済のインフラとして、同行がどのような革新を見せてくれるのか、その手腕に大きな期待がかかります。
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