国土交通省と内閣府は2019年6月23日より、茨城県常陸太田市にて自動運転に関する大規模な実証実験を開始しました。この取り組みは、特に高齢化が進む山間地域において、住民の日常的な移動手段の確保と、市街地を走る既存の公共交通機関である路線バスとのスムーズな接続を実現できるかを検証するものです。自動運転車と路線バスという異なる公共交通手段を連携させる試みは、全国で初めてのケースであり、将来的に持続可能なビジネスモデルとして成立するかという、採算性を見極める重要なフェーズに入ったと言えるでしょう。
実験の拠点となるのは、常陸太田市の高倉地区です。この地区は2019年6月1日時点で常住人口が459人ですが、高齢化率は同年4月時点で56パーセントという非常に高い水準に達しています。国はこのまま高齢化が進むと、地区内での移動手段の確保が困難になることを懸念しており、今回の実証実験はそのような交通弱者対策の切り札となることが期待されています。
実証実験は2019年6月23日から7月21日までの一カ月間にわたって行われます。実験では、4人乗りと6人乗りの自動運転車両が使用され、これらが地元の茨城交通が運行する路線バスの停留所と地区内を結びつける役割を担います。利用者はスマートフォンなどで乗車を申し込み、常陸太田市内に設置された運行管理センターが乗車時刻を連絡するという仕組みです。
この自動運転車両は、緊急時を除いて自動で走行しますが、安全性を確保するため、運行管理センターで常にその運行状況が監視されています。自動運転とは、ドライバーが操作しなくても、センサーやAIなどの技術により、車が周囲の状況を把握・判断して走行する技術のことです。この運行管理システムが、高齢化社会の交通問題を解決する鍵となります。
SNS上では、このニュースに対して「過疎地域での移動手段として非常に期待できる」「全国の高齢化地域にも早く展開してほしい」といった、実用化への強い期待を示す声が多く見受けられました。また、「地方の交通インフラ維持に対する国の本気が見える」と評価する意見や、「採算性をどう確保するかが課題だ」と現実的な問題提起をするコメントもあり、社会的な関心の高さを感じさせました。
私見ですが、今回の「路線バスと自動運転の連携」というアプローチは、非常に理にかなっていると考えられます。山間部などの過疎地域で、高頻度・広範囲の移動をすべてカバーするのはコスト面で現実的ではありません。そこで、採算の取れる主要な移動ルート(幹線)は既存の路線バスが担い、その幹線と各集落(支線)を結ぶ「ラストワンマイル」を自動運転車が担うというフィーダーサービスの形こそが、今後の日本の地方交通の理想的な姿ではないでしょうか。この茨城での実験結果は、同様の課題を抱える全国の地域にとっても大きな指針となるでしょう。
国交省は、この高倉地区での成功体験を基に、同じような厳しい状況にある他の地域にも、この自動運転を活用した運行システムを積極的に展開していきたい意向です。高齢者の移動の自由を確保し、生活の質(QOL)を維持するためにも、この実証実験が単なる技術検証に留まらず、社会実装へとつながることを強く望みます。
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