私たちの日常に欠かせない「歯磨き粉」の世界で、歴史を塗り替えるような壮大なプロジェクトが香川県坂出市で幕を開けようとしています。業界を牽引するライオン社と、包装技術のトップランナーである大日本印刷(DNP)が強力なタッグを組み、2019年11月21日に、かつてない効率化を目指した新工場の建設計画を明らかにしました。
今回の発表で最も注目すべき点は、ライオンが建設を進めている歯磨き粉の新工場に隣接して、DNPが専用の容器工場を新設することです。これは、チューブを製造する場所と、そこに中身を詰め込む場所を物理的に合体させるという、非常に大胆な試みと言えるでしょう。
SNS上では、このニュースに対して「香川に巨大なハイテク工場ができるなんて楽しみ!」「ライオンの歯磨き粉がもっと身近になりそう」といった、地元の雇用創出や産業活性化を期待するポジティブな声が多数寄せられています。瀬戸内から世界へ、日本のモノづくりの底力を見せつける絶好の機会となりそうです。
これまで、歯磨き粉のチューブと中身は別々の離れた工場で作られるのが一般的でした。しかし今回の計画では、ライオンが用意した約4900平方メートルの建屋内に、DNPが最新の製造設備を設置・運営するという、企業の垣根を越えたコラボレーションが実現します。
無人化と一貫生産がもたらす驚異の効率化
この新工場の最大の武器は、原材料の搬入から製品が箱詰めされるまでを一気に完了させる「一貫生産システム」にあります。従来発生していたチューブの運搬コストや、複雑な在庫管理の悩みを一掃し、データ共有によって資材の無駄を極限まで省く仕組みを構築する予定です。
さらに驚くべきことに、最新鋭のデジタル技術を駆使して、チューブの搬入から内容物の充填(じゅうてん)までを完全に無人化することにも挑戦します。ちなみに「充填」とは、容器の中に製品を隙間なく詰める作業を指す専門用語ですが、これが自動化されるのは同社にとっても初の快挙となります。
ライオンにとって国内で歯磨き粉工場を新設するのは、実に52年ぶりという一大事業です。投資額は約400億円にものぼり、年間1億3000万本相当という圧倒的な生産能力を誇ることになるでしょう。2021年中の本格稼働を目指し、現在は着々と準備が進められています。
昨今の健康志向の高まりを受け、虫歯や歯周病を予防する高付加価値な製品へのニーズは日本国内で急増しています。さらに今回の新拠点は、旺盛な需要が見込まれる中国をはじめとしたアジア市場への輸出拠点としての役割も担っており、グローバルな展開も視野に入れています。
私個人の見解としては、異なる強みを持つ二社が隣り合わせで連携する「垂直統合型」のモデルは、今の時代の製造業における一つの理想形だと感じます。物理的な距離をゼロに近づけることで、二酸化炭素の排出抑制などの環境配慮にも繋がるはずですし、何より日本品質が世界に広まるのは誇らしいことです。
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