【DNPの変革】印刷業界の老舗が大改革!副業・出戻り社員を歓迎する「多様な働き方」の最前線

情報通信技術(ICT)の急速な進化は、私たちを取り巻く社会やビジネス環境を一変させ、特に従来の紙媒体を中心としてきた印刷業界に大きな変革を迫っています。こうした激動の中、業界のリーディングカンパニーである大日本印刷(DNP)が、2019年春から大胆な人事制度の刷新に踏み切ったことが大きな注目を集めています。これは、優秀な人材を確保し、新しい価値を創造するための、同社の強い危機感と決意の表れと言えるでしょう。

DNPが今回の制度改革で重視したのは、**「社外の視点を取り込む」「新しい価値の創出」「柔軟な働き方の推進」という3つの柱です。中でも特に異彩を放つのが、一度退職して他社に転職した社員でも再雇用する「ジョブ・リターン制度」**を新設した点です。従来も結婚や出産で退職した社員の復帰制度はありましたが、今回は転職者を積極的に受け入れるという先進的な試みと言えます。社外で培った専門知識や経験、そして新しい視点を再びDNPの事業成長に活かしてもらおうという狙いがあり、この制度は中途採用の基準で評価され、給与水準もそれに準じることになります。

さらに、時代の流れを汲んだ大きな変更点として、これまで就業規則で原則禁止されていた**「副業・兼業」**も、本業に支障が出ないことを条件に一部容認されました。解禁後の2019年4月以降、すでにネットビジネスなどへの取り組みを希望する申請が10件ほど提出されているとのことで、社員の多様なキャリア形成と自己投資を後押しする制度として、SNS上でも「大手企業で副業が認められるのは素晴らしい」「スキルアップにつながる」といった好意的な反響が見受けられました。社員が社外で経験を積むことが、結果として本業にも新たなインスピレーションをもたらす可能性を秘めていると私は考えます。

専門性の高い人材獲得に向けても、新たな枠組みが設けられました。情報技術(IT)やヘルスケアなどの特定分野で高度な知識や技術を持つ人材を、既存の給与体系にとらわれず、一般社員より高水準の給与で有期契約で雇用する新制度を導入しています。これは、技術革新のスピードが加速する現代において、社内に不足している専門性を迅速に取り込むための極めて戦略的な一手です。また、若年層のモチベーション向上も見逃せません。2019年の年間一時金(ボーナス)については、30歳モデルで前年比17.06%増の143万7,710円へと大幅に引き上げられる計画です。同社は「他業種の同世代と比較して低かった水準を改善し、自己啓発などに活用してほしい」と語っており、若手への投資を惜しまない姿勢が鮮明になっています。

柔軟な働き方の推進にも力を入れています。好きな場所で働ける**「モバイルワーク」や在宅勤務といった「テレワーク」**の対象者を拡大し、日報や営業報告が可能なモバイル端末の利用を増やしました。これにより、社員は本社への出社や帰社に縛られることなく業務を遂行できるようになるでしょう。また、地方転勤の際に厳格だった単身赴任手当の申請条件も緩和され、簡易な申請で利用できるようになりました。社員が「時間と場所」をより有効に活用できる環境を整えることは、ワークライフバランスの改善、ひいては生産性の向上に直結する重要な要素であると言えます。

今回の制度見直しは「第1弾」と位置付けられており、今後は60歳から65歳のシニア層の処遇や、確定給付型企業年金といった制度の見直し・新設も視野に入れられています。確定給付型企業年金とは、将来受け取る給付額があらかじめ定められている年金制度のことで、社員の老後の生活設計を支援する上で重要な役割を果たします。DNPは、昨年から課長職約1,300人を対象に働き方の実態調査を実施し、「資料作成よりも部下の育成に時間を割いている」といった具体的な課題を把握しました。これらの課題に基づき、現在は事業部ごとに改善案を策定し、実行に移している最中です。北島義斉社長は「さらなる変革が必要」と強調しており、DNPは人事制度改革を加速させることで、従業員をつなぎとめ、社外の有能な人材を積極的に迎え入れることで、企業としての持続的な成長を目指しているのです。

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