建設業界の常識を覆す画期的な製品が、今大きな注目を集めています。静岡市に拠点を置く化学製品メーカー、タケ・サイトが開発した生コン配管潤滑剤「ルブリ」です。この製品は、コンクリートを型枠に流し込む際に配管の詰まりを防ぐ「先行剤」としての役割を果たしますが、その性能が驚異的なのです。
通常、生コンクリートをポンプ車で圧送する前には、管の内側を滑らかにするための準備作業が欠かせません。これまでは「先行モルタル」という砂利を含まないコンクリートを大量に流し込む手法が一般的でした。しかし、この従来の方法には、環境負荷とコストの両面で大きな課題が隠されていたのです。
SNS上では「たった一回の作業で1トンものモルタルが捨てられていたなんて驚きだ」という声や、「現場のゴミを減らす取り組みは素晴らしい」といった、環境意識の高まりを反映した反響が寄せられています。業界内でも、この「捨てることが当たり前」だった習慣に一石を投じる動きを歓迎するムードが広がっています。
セルロースナノファイバーが実現した驚異の減量化
タケ・サイトの武田雅成社長が着目したのは、植物由来の新素材である「セルロースナノファイバー(CNF)」の活用でした。CNFとは、植物の繊維をナノサイズ(100万分の1ミリ単位)まで細かく解きほぐした超高性能素材です。この素材には、力を加えたときだけサラサラと流れる不思議な性質があるのです。
このルブリを導入すると、2019年11月29日現在の試算で、これまでの50分の1という極めて少ない量で作業が可能になります。具体的には、30メートルの配管に対して1トン必要だったモルタルが、わずか20キログラムのルブリで代用できる計算です。まさに魔法のような効率化といえるでしょう。
私は、この技術こそが日本の「ものづくり」の真髄だと確信しています。単に新しいものを作るだけでなく、生コン工場から出る廃棄物(生コンスラッジ)を再利用した石灰を原料に含んでいる点に、持続可能な社会への強い意志を感じます。環境保護と利益の両立は、現代企業が目指すべき理想の姿です。
リニア中央新幹線も採用!広がる現場の再利用
この革新的な技術は、日本最大級のインフラ事業であるリニア中央新幹線の建設現場でも既に採用されています。難易度の高いトンネル工事に向けては、寒冷地でも凍らない「不凍性」を備えた改良版の開発も進んでおり、その適応力には目を見張るものがあります。
さらに同社は、余った生コンをその場で砂利状に変えて再利用できる改良剤「テラ」も展開しています。通常、固まる前のコンクリートは処理が大変ですが、テラを混ぜて数分練るだけで水分が飛び、敷き砂利として現場で活用できるようになります。これにより、機材の洗浄水も大幅に削減可能です。
2019年7月期の売上高は1千万円強ですが、武田社長は2024年7月期までに1億円への成長を目指しています。日本工業規格(JIS)への採用検討も始まっており、この「静岡発」の技術が日本の建設現場の標準となる日は、そう遠くないかもしれません。未来のインフラを支える影の主役から目が離せません。
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