ものづくりの街として知られる大阪府八尾市から、世界を驚かせる画期的な技術が産声を上げました。金属加工メーカーの「アベル」が開発した、吸い込まれるような深い黒を放つステンレス材が、今大きな注目を集めています。2019年08月23日、同社はさらなる需要拡大に応えるため、2021年の稼働を目指して漆黒ステンレスの生産能力を倍増させる新工場の建設を発表しました。この投資額は3億円から5億円にものぼり、まさに社運を賭けたビッグプロジェクトと言えるでしょう。
アベルが手掛けるステンレスは、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の窓枠外装に採用されるなど、その品質は折り紙付きです。SNS上でも「この黒さは異次元」「金属とは思えない光沢感」といった驚きの声が広がっており、単なる工業製品を超えた芸術的な美しさが話題を呼んでいます。これまでの常識では、金属に深い黒を定着させることは至難の業とされてきました。しかし、アベルはこの壁を見事に打ち破り、高級感あふれる漆黒の表現に成功したのです。
独自の「電解発色」が実現した究極の黒と耐久性の両立
なぜ、アベルの黒はこれほどまでに特別なのでしょうか。一般的に金属を黒くするには、塗料を塗る、メッキを施す、あるいは薬品で反応させる「化学発色」という3つの手法が存在します。しかし、塗料は剥がれやすく、メッキや化学発色では色が薄くなりがちという弱点がありました。そこで同社が生み出したのが、電気と薬品の力を巧みに組み合わせた「電解発色」という独自の技術です。これは金属表面の酸化皮膜を緻密に制御することで、深みのある黒を実現する高度な手法を指します。
2013年から製造が開始されたこの技術は、塗料のような濃厚な黒さを持ちながら、金属本来の美しい光沢を失わないという魔法のような特性を持っています。さらに特筆すべきは、その圧倒的な耐久性です。従来の加工法に比べて色が剥げにくく、ステンレス本来の錆びにくい性質をさらに強化する効果まで備えています。まさに「美」と「強」をハイレベルで両立させた、日本の職人魂が凝縮されたイノベーションであると私は確信しています。高価なのも納得の品質です。
用途は自動車だけに留まりません。東京スカイツリーのエレベーター外装にも採用実績があり、今後は車載カメラやスマートフォンといった精密機器分野への広がりも期待されています。居相浩介社長は、光沢のある黒が演出する高級感こそが市場を開拓する鍵だと語ります。2024年には売上高10億円を目指し、欧州を中心とした海外展開も視野に入れています。2019年04月に父から事業を継承したばかりの若きリーダーによる、伝統と革新の挑戦から目が離せません。
増産体制を整えるため、アベルは人材確保にも余念がありません。近畿大学との産学連携によるインターンシップを通じて、若く優秀な感性を取り入れる動きを加速させています。現在の約2倍にあたる60名体制への拡充を目指しており、地域経済の活性化にも大きく貢献することでしょう。かつては医薬品製造からスタートした同社が、今や世界を彩る漆黒のトップランナーへと進化を遂げた姿は、多くの中小企業にとって希望の光となるはずです。
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