福岡県八女市から、世界の農業現場に革命を起こしている企業があることをご存じでしょうか。農業資材メーカーの「アグリス」が手掛ける特殊テープ「メデール」が、今まさに国境を越えて熱烈な支持を集めています。2019年07月23日現在、この画期的な製品は世界50カ国以上に輸出されており、驚くべきことに売上高の8割以上を海外市場が占めているのです。
「メデール」がこれほどまでに重宝される最大の理由は、植物の「接ぎ木(つぎき)」作業を劇的に効率化する点にあります。接ぎ木とは、2つの異なる植物の切断面を接着させ、1つの個体として育てる高度な園芸技術を指します。通常は病害虫に強い「台木」と、美味しい実をつける「穂木」を組み合わせますが、この接合部を保護し、乾燥や細菌から守る工程が農家にとって大きな負担となっていました。
そこで登場したのが、アグリスの独自技術が詰まった「メデール」です。このテープは、外からの細菌侵入を鉄壁の守りで防ぎながらも、植物が生きていくために必要な空気はしっかりと通すという、相反する機能を高い次元で両立させています。SNS上では「巻きやすさが段違い」「一度使うと他のテープには戻れない」といった現地の農家や園芸ファンからの驚きの声が相次いでおり、現場の救世主として拡散されています。
さらに特筆すべきは、作業後の手間を一切排除した利便性の高さでしょう。従来のテープは接合が完了した後に人の手で剥がす必要がありましたが、メデールは時間が経つと自然に劣化してボロボロと溶け落ちる設計になっています。この「自然に還る」性質は、広大な農地を管理するプロにとって、人件費削減や作業ミス防止に繋がる決定的なメリットとして捉えられているようです。
ワイン市場への挑戦とアグリスが描く農業の未来
世界的な成功を収めているアグリスですが、その歩みは止まることを知りません。現在はさらなる飛躍を目指し、ワインの原料となるブドウ栽培の市場開拓に注力しています。ワイン用ブドウの世界は伝統が重んじられる一方で、気候変動や病害への対策が急務となっており、同社の精密な接ぎ木技術が求められる場面は今後ますます増えていくに違いありません。
筆者の個人的な視点としては、日本の地方都市にある中小企業が、これほどまでに高いシェアを海外で獲得している事実に深い感銘を覚えます。単なる便利グッズに留まらず、植物の生理機能を科学的に分析し、環境負荷まで考慮した製品作りは、まさに「ものづくり日本」の矜持を感じさせます。ニッチな分野であっても、本物の価値を提供すれば世界が相手になるという素晴らしい証明ではないでしょうか。
2019年07月23日を起点に、アグリスの技術はさらに多くの農園を支え、私たちの食卓に並ぶ果実やワインの質を高めてくれるはずです。技術力で言葉の壁を越え、地球規模で農業の生産性を向上させる同社の取り組みから、今後も目が離せません。日本が誇るこの「魔法のテープ」が、次にどの国のどんな作物を救うのか、その展開を期待を持って見守りたいと思います。
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