日本を代表するセレクトショップ「ビームス」が、福岡県が誇る伝統的工芸品である「久留米絣(くるめがすり)」に新たな命を吹き込みました。2019年12月8日、同社は新ブランド「CATHRI(カスリ)」の立ち上げを発表し、これまでの伝統着のイメージを覆すファッショナブルなラインナップを披露しています。職人の技が光る素材感と、ビームスの都会的な感性が融合したこの試みは、感度の高いファッショニスタたちの間で早くも大きな注目を集めているようです。
今回展開されるのは、2020年の春夏シーズンに向けたスカートやワンピースなど、計4つのアイテムです。久留米絣とは、あらかじめ括り手作業で染め分けた糸を用いて織り上げることで、独特の「かすれ」や「にじみ」を表現する織物のことを指します。この技法によって生まれる文様は、プリントでは決して表現できない深い味わいがあるのが特徴です。SNS上では「伝統工芸がこんなに格好良くなるなんて」「高価だけれど一生モノとして手に入れたい」といった期待の声が寄せられています。
街歩きを彩る上質なカジュアルウェアの提案
ラインナップは、23,100円のTシャツから57,200円のスカートまで、こだわり抜いた価格設定となっています。特に注目したいのは、52,800円で販売されるワンピースです。腰回りやベルト部分に久留米絣の象徴的なかすれ柄を贅沢にあしらっており、素朴な風合いの中にも凛とした気品が漂います。久留米絣は綿素材のため、肌触りが非常に良く、吸水性や通気性に優れている点も魅力でしょう。蒸し暑い日本の夏でも、快適にそしてお洒落に街中を闊歩できる仕上がりとなっています。
福岡県内の伝統的工芸品を取り巻く環境は、2018年度の生産額が約66億円と、この10年間で約4割も減少するという厳しい局面に立たされています。こうした背景がある中で、ビームスのような影響力のある企業が地場産業と手を組む意義は極めて大きいと感じます。単なる懐古趣味ではなく、現代のライフスタイルに溶け込む「日常着」として再定義する姿勢は、文化の継承における理想的な形ではないでしょうか。高級感と実用性を兼ね備えたこれらの商品は、消費者に新しい価値観を提示してくれます。
販売は2020年3月中旬から、福岡市内の店舗をはじめ、横浜市や大阪府泉佐野市のビームスなど計3店舗で開始される予定です。また、このプロジェクトは第1弾に過ぎず、今後は「うなぎの寝床」との協力による「上野焼(あがのやき)」を活用した商品開発も控えています。上野焼とは、多様な釉薬(ゆうやく)が生み出す色彩豊かな表情が特徴の陶磁器です。次々と展開される伝統工芸とのコラボレーションから、日本のモノづくりの底力を再発見できる日が今から待ち遠しくてなりません。
コメント