2019年12月8日、男子ゴルフの国内最終戦「日本シリーズJTカップ」が幕を閉じました。今大会では石川遼選手が今季3勝目を挙げて華々しくシーズンを締めくくりましたが、それと同時に大きな注目を集めたのが、3位に食い込んだ今平周吾選手の快挙です。彼はこの結果により、2年連続の賞金王という栄冠を手にしました。
弱冠27歳2カ月という若さでの複数回戴冠は、あのレジェンド・尾崎将司選手の記録を塗り替える歴代最年少記録となります。青木功選手や中嶋常幸選手、片山晋呉選手といったゴルフ界の巨星たちに肩を並べる5人目の連続賞金王誕生に、ファンからは「時代が変わる瞬間を見た」とSNS上でも驚きと称賛の声が溢れています。
「勝てない」悔しさを糧にする鋼のメンタル
今平選手の今シーズンは、非常に稀な形で記憶されるでしょう。年間の勝利数は石川選手より少ない2勝に留まりましたが、特筆すべきは圧倒的な安定感です。トップ10入りした16試合のうち、2位が5回を数えるという成績は、勝利よりも「あと一歩」の悔しさを象徴しています。本人が「勝たないと何も残らない」と語る通り、勝利への渇望は誰よりも強いはずです。
象徴的だったのは2019年5月の中日クラウンズです。単独首位で迎えた最終ホールのミスで優勝を逃した経験は、彼にとって大きな棘となりました。今回の最終戦でも、初となる国内メジャータイトルを狙い攻めの姿勢を貫きましたが、最終18番のダブルボギーで惜しくも3位に。しかし、その果敢な挑戦こそが、彼をトップへ押し上げる原動力なのでしょう。
スイング改良で見せた驚異の「適応力」
石川選手が「周吾の技術は日本ツアーでトップ」と脱帽するように、今平選手の技術力は群を抜いています。特に、1年間の平均打数を示す「平均ストローク」では、2年連続でツアー唯一の70切りを達成しました。これは、天候やコースコンディションに左右されず、いかに高い水準でプレーを続けられるかを示す、プロとしての真の実力の証と言えます。
さらに特筆すべきは、シーズン中に断行したスイング改良です。2019年に初出場した海外メジャー4戦での予選落ちという挫折を、彼は進化の種に変えました。海外勢の飛距離に対抗するため、ダウンスイング時に体を沈み込ませて反動を使う独自の動きを取り入れ、平均飛距離を昨季より約5ヤードも伸ばしたのです。試合をこなしながらのフォーム改造は異例の挑戦でした。
この飽くなき探究心こそが、若き賞金王の武器です。敗北の悔しさを技術で埋め、進化を止めないその姿には、筆者も一人のスポーツファンとして畏敬の念を禁じ得ません。世界ランキング50位内の資格で出場が確実視される2020年4月のマスターズ。日本の若き王者がオーガスタの地でどのような旋風を巻き起こすのか、今から期待が膨らんで止みません。
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