世界最大級のオークションサイトとして知られるイーベイが、日本市場での攻勢を一段と強めています。2019年12月8日、イーベイ・ジャパン合同会社のヘンリー・チュン社長は、今後の成長戦略について極めて意欲的な展望を明らかにしました。特に注目すべきは、買収したショッピングサイト「Qoo10(キューテン)」の更なる進化です。これまでトレンドに敏感な「F1層」と呼ばれる20歳から34歳の女性層をターゲットに、韓国ファッションや美容アイテムを武器に急成長を遂げてきましたが、その勢いはとどまるところを知りません。
ネット上のSNSでも「Qoo10はメガ割が安すぎる」「他では見かけない海外コスメが手に入る」と話題を集めており、若い世代を中心に圧倒的な支持を得ています。チュン社長は、この強みをさらに盤石なものにするため、米国のeBayサイトとのシステム連携を強化する方針を示しました。これにより、日本のユーザーは「Qoo10」を通じて、これまで以上に多様な欧米の限定アイテムを直接購入できるようになります。支払面においても、クレジットカードを所有しない層に配慮した「後払い決済」を導入するなど、徹底したユーザー目線の施策が光っています。
EC業界全体を見渡すと、2019年にはヤフーの親会社であるZホールディングスがZOZOを買収するという大きな地殻変動が起きました。競合他社の動きが激化する中で、チュン社長は「日本のファッションECはまだ産声を上げたばかり」と冷静に分析しています。他社の動きを市場活性化のチャンスと捉える余裕すら感じさせますが、同時にイーベイ自身も新たなM&A(合併・買収)に含みを持たせています。同社が狙うのは、単なる決済機能の拡張ではなく、グローバルネットワークに相乗効果をもたらす同業他社との連携です。
越境ECの壁を取り払う「専門支援」と中小企業への期待
イーベイの最大の武器は、何と言っても世界中に広がる「越境EC」の圧倒的なノウハウです。越境ECとは、国境を越えてインターネット通販を行うことを指しますが、日本の事業者の多くは、言語の壁や配送、アフターサービスの不安から海外進出を躊躇しているのが現状です。そこでイーベイは、販売から顧客対応、配送に至るまでを一括でサポートする専門チームを立ち上げ、日本の優れた商品を世界へ届けるためのバックアップ体制を構築しました。
私は、このイーベイの戦略こそが日本の中小企業が生き残るための「特効薬」になると確信しています。国内市場が成熟しつつある今、欧米やアジアのリアルな売れ筋データを持つイーベイと連携することは、単なる販路拡大以上の価値があるでしょう。特定のトレンドに強い「Qoo10」と、世界的な信頼を持つ「eBay」の二段構えは、他の中央集権的なECモールにはない独自の魅力です。今後、私たちが目にするのは、日本の小さな町工場の製品が、瞬時にニューヨークやパリの消費者に届くというエキサイティングな景色ではないでしょうか。
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