いま、マイホーム購入を検討している方々の間で「中古物件」という選択肢が急速に身近なものとなっています。不動産流通経営協会(FRK)が2019年12月10日に発表した最新の調査結果によると、住宅購入時に建物のコンディションを確認する「建物検査」を実施した人の割合が、前年度を上回る46%に達したことが判明しました。これは3年連続の増加であり、特に一戸建てでは6割を超える方々が検査を活用しています。
背景にあるのは、新築マンションの価格高騰です。無理をして新築を狙うよりも、質の良い中古を賢く選び、自分好みに住みこなすスタイルが定着しつつあります。SNS上でも「中古なら立地に妥協しなくて済む」「浮いた予算でリノベを楽しみたい」といったポジティブな声が目立っており、もはや中古住宅は消極的な選択肢ではありません。こうした消費者の賢い選択を支えているのが、第三者のプロが建物の劣化状況を診る住宅診断なのです。
法改正と「住宅診断」が中古市場のスタンダードへ
住宅診断、いわゆるホームインスペクションとは、建築士などの専門家が屋根や外壁、床下などの欠陥や補修の必要性を客観的に診断するサービスを指します。2018年4月1日から施行された改正宅地建物取引業法により、仲介業者は売買の際に住宅診断の説明を行うことが義務化されました。この法改正が強力な追い風となり、購入前に「家の健康診断」を受ける流れが一般的になったといえるでしょう。
私はこの変化を、不動産取引の透明化に向けた大きな一歩だと捉えています。これまでは「中古は隠れた不具合が怖い」という心理的な壁がありましたが、検査によってリスクが可視化されることで、納得感のある取引が可能になりました。物件の「規格や品質の高さ」を重視する購入者が約4割にのぼるというデータからも、今後は「安心」がセットになった物件こそが市場で選ばれる条件になっていくに違いありません。
世代で分かれる売買スタイルと増税の影響
今回の調査では、2019年10月に実施された消費増税の影響も浮き彫りになりました。増税前に購入を急いだと回答した人は全体で42%でしたが、29歳以下の若年層に限れば55%と半数を超えています。また、売却時の行動にも世代差が鮮明に表れました。ネットでの一括査定サイトを利用した割合は、39歳以下では過半数を占める一方で、60歳以上では2割に満たないという対照的な結果が出ています。
新築志向が根強かった日本でも、中古住宅を自分らしくアップデートする文化が確実に芽吹いています。多様化するニーズに対し、不動産会社には単なる紹介にとどまらない、診断やリノベーション提案を含めたトータルなサポート力が求められるでしょう。物件の個性を正しく評価し、買主の不安を丁寧に解消できる誠実なパートナー選びこそが、これからの住まい探しにおける成功の鍵を握っているといえそうです。
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