【2020年度高卒採用】5年連続の減少傾向も、攻勢を強める鉄道・インフラ勢と自動車部品の明暗

若手人材の確保が企業の至上命題となる中、2019年10月16日現在の高卒採用戦線に異変が起きています。日本経済新聞社が実施した最新の調査によりますと、2020年春に入社を予定している高校生の「内定者数」は、前年の実績と比較して16.9%も落ち込む結果となりました。これは5年連続の減少であり、少子高齢化に伴う労働力不足が深刻な影を落としていると言えるでしょう。

SNS上では「大卒だけでなく高卒の争奪戦も激化している」「中小企業にはもはや回ってこないのではないか」といった悲鳴に近い声が上がっています。特に製造業の現場を支えるブルーカラー層、いわゆる現業職の確保は、日本の産業界にとって死活問題です。選考解禁から間もないこの時期、多くの企業が目標数に届かず、現在も必死の採用活動を継続している様子が浮き彫りになりました。

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鉄鋼巨頭の底力と自動車業界に漂う停滞感

内定者数で首位に輝いたのは日本製鉄グループで、合計932人を確保しました。2019年度の実績よりは少ないものの、これは業績悪化による削減ではなく、定年退職者の数を見越した戦略的な調整によるものです。こうした計画的な「ポートフォリオ管理」、つまり人員構成の最適化を行える点は、流石は日本を代表する巨大企業といったところでしょう。

一方で、長年採用を牽引してきた自動車部品業界には、ブレーキがかかっています。アイシン・エィ・ダブリュ(現:アイシン)は、中国市場の減速などの影響を受け、内定者数が前年比で6割も減少しました。これまで「高卒といえば自動車・鉄鋼」という盤石な構図がありましたが、世界情勢の不透明感が、多感な高校生たちの進路決定にも少なからず影響を与えているのかもしれません。

対照的に、積極的な姿勢を見せたのが鉄道業界です。JR東日本は、当初の計画を大幅に上回る337人に内定を出しました。背景にあるのは、中途採用市場の激化です。経験者を採用することが難しくなったため、自社で一から育て上げる「新卒一括採用」のメリットを再評価した形です。若いうちから自社の文化を叩き込む教育方針は、サービス品質の維持に直結する賢明な判断と言えます。

採用ミスマッチを防ぐために企業が歩むべき道

今回の調査結果を俯瞰すると、単に人数を追う時代から、質と長期的な定着を重視するフェーズへ移行していると感じます。企業が「内定を出せば終わり」と考えているようでは、SNS世代の若者たちに見限られてしまうでしょう。彼らが求めているのは、安定した給与だけでなく、自身の成長と社会貢献の実感です。

採用ミスマッチ、すなわち入社後の「こんなはずじゃなかった」という認識のズレを防ぐには、現場のリアルを早期に伝える誠実さが求められます。インターンシップの充実や、OB・OGによる本音の対話など、企業側から歩み寄る努力が不可欠です。2020年4月の入社式に向け、各社の粘り強いアプローチは、冬を越えても続いていくことになりそうです。

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