世界経済に暗い影を落とす「貿易制限」の波が、かつてない規模で押し寄せています。2019年11月21日、世界貿易機関(WTO)が発表した最新の調査結果によると、同年5月から10月のわずか半年間で、G20諸国が実施した輸入制限措置の対象額が約50兆円(4604億ドル)に達したことが判明しました。これは前回調査と比較して約37%も急増しており、統計開始以来、過去2番目に大きな数字を記録しています。
今回の異常ともいえる急増の背景にあるのは、やはり泥沼化する「米中貿易戦争」の存在でしょう。この対立は単なる二国間の問題に留まらず、地球規模で経済の活力を奪う大きな要因となっています。SNS上でも「身近な家電や服の値段が上がるのでは」「世界恐慌の再来にならないか」といった不安の声が数多く上がっており、一般消費者の生活実感としても、この貿易摩擦の深刻さがじわじわと浸透し始めているのが現状です。
消費者に迫る制裁関税の脅威と「第4弾」の衝撃
トランプ米政権は2019年9月1日に、中国製品に対する制裁関税「第4弾」の一部を発動させました。ここで注目すべきは、対象が従来の産業用機械などから、私たちの生活に直結する衣料品や家電といった「消費財」へと広がった点です。これらの品目に15%もの関税が上乗せされたことで、家計への直接的な打撃が懸念されています。一方、中国側もアメリカ産の農産物や大豆に報復関税を課すなど、一歩も引かない姿勢を見せています。
専門用語で「制裁関税」とは、不当な貿易慣行などへの対抗措置として、通常の税率に加えて高い関税を課すことを指します。これは輸入品の価格を押し上げることで国内産業を守る狙いがありますが、実際には消費者が支払う価格を上昇させ、結果として景気を冷え込ませる「諸刃の剣」となります。2019年12月中旬には、スマホも対象に含む追加関税の準備が進んでおり、事態はさらに深刻化する恐れがあるでしょう。
WTO事務局長が鳴らす警鐘と冷え込む世界市場
こうした状況を受け、WTOのアゼベド事務局長は2019年11月21日の声明にて、貿易制限が歴史的な高水準にあることに対し、異例の強い言葉で警告を発しました。この措置は単にモノの流れを止めるだけでなく、世界の成長率や雇用、そして私たちが物を買う力である「購買力」にまで悪影響を及ぼしているのが実情です。実際に、航空貨物の需要減退や電子部品の生産減少など、実体経済へのダメージはすでに数値として現れています。
個人的な見解を述べさせていただくと、国家間の意地の張り合いによって、自由貿易がもたらしてきた豊かな恩恵が損なわれるのは非常に嘆かわしい事態です。WTOも2019年の貿易成長率予測を大幅に下方修正しており、先行きの不透明感は増すばかりです。私たちは今、自国の利益を優先する「保護主義」が、巡り巡って自らの首を絞めることになるという現実に直面しています。一刻も早い対話による解決と、安定した市場環境の回復を切に願うばかりです。
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