私たちの生活に身近な「ビール」の原料であるホップが、大きな進化を遂げようとしています。キリンホールディングスは、大手広告代理店の電通と手を組み、ホップ由来の健康素材を普及させるための新会社「INHOP(インホップ)」を2019年10月15日に設立しました。ビールの苦味や香りの決め手となるホップには、実は驚くべき健康パワーが秘められていたのです。
新会社では、キリンが長年培ってきた研究成果をもとに、物忘れの防止や体脂肪の低減に役立つ素材を幅広く展開します。2020年内の商品発売を皮切りに、2023年には数億円規模の売上を目指すという壮大な計画が動き出しました。キリンの研究員から社長に就任した金子裕司氏は、2019年11月1日の就任以来、ホップの力で社会課題を解決すると熱く語っています。
苦味を克服した魔法の素材「熟成ホップエキス」の誕生
キリンは2000年代初頭から、ホップの健康領域への応用を模索してきました。特に注目されたのは、脳内の老廃物の蓄積を抑える機能です。これは認知症予防の鍵となる可能性を秘めていますが、最大の手がかりは「苦味」でした。本来のホップは食品にするには苦すぎるという課題があったのです。
そこで開発されたのが、ホップを加熱・熟成させる独自の技術です。このプロセスにより、苦味を従来の10分の1にまで抑えることに成功しました。こうして誕生した「熟成ホップエキス」は、サプリメントや飲料、さらには化粧品への配合も期待されています。SNSでは「ビール好きにはたまらない健康法」「ホップにそんな力が!」と期待の声が上がっています。
食と医をつなぐキリンの新たな挑戦
実用化の第1弾として、2019年10月15日にはノンアルコール飲料「カラダFREE」が発売されました。これは「お腹まわりの脂肪を減らす」という機能性表示食品であり、健康志向のユーザーから大きな注目を集めています。特定の成分が体にどう働くかを科学的根拠に基づき表示する「機能性表示食品」は、今や消費者が商品を選ぶ際の重要な指標です。
キリンが描く未来は、単なる飲料メーカーの枠を超えています。2019年12月期から始動した長期経営構想では、「医と食をつなぐ事業」を柱に据えました。ファンケルとの資本業務提携や協和発酵バイオの完全子会社化など、病気を未然に防ぐ「未病」の領域へ本格的に舵を切っています。
個人的な見解ですが、老舗企業が伝統的な原料であるホップに「健康」という新しい価値を見出した点は非常に画期的だと感じます。これまでは嗜好品としてのイメージが強かったホップが、少子高齢化社会における救世主になるかもしれません。飲料だけでなく、私たちの美容や脳の健康を支えるパートナーとして、INHOPがどのような旋風を巻き起こすのか目が離せません。
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