トレーニングギアの代名詞「SIXPAD」や、美容界を席巻した「ReFa」を展開する株式会社MTG。飛ぶ鳥を落とす勢いだった同社が、今、かつてない試練の時を迎えています。2019年12月09日、都内で開かれた決算会見の会場には、これまでの華やかな成長神話とは裏腹に、張り詰めた緊張感が漂っていました。
登壇した松下剛社長は、赤字転落や株価の低迷、さらには決算発表の遅延という事態を重く受け止め、深く頭を下げました。「関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます」という言葉からは、カリスマ経営者としての苦悩と、逆境を跳ね返そうとする強い意志が滲み出ています。
今回発表された2019年09月期の連結決算は、最終損益が262億円の赤字という、前の期の黒字から一転して厳しい着地となりました。SNS上では「あのMTGがここまで苦戦するとは……」「ブランド力が高いだけにショック」といった驚きの声や、今後の製品展開に期待を寄せるユーザーからのエールが入り混じっています。
中国EC規制の荒波と、主力ブランド「ReFa」が直面した誤算
大幅な減収の主因となったのは、同社の稼ぎ頭である美容ローラーブランド「ReFa」の失速です。その背景には、中国で施行された「電子商取引(EC)法」の存在があります。これはネット販売の適正化を狙った規制ですが、結果として日本製品を中国へ流していた個人代理商たちの動きを鈍らせ、販売高は前期比6割減の130億円にまで落ち込みました。
また、当初は2019年11月14日に予定されていた決算発表が遅れた点についても説明がありました。韓国子会社における在庫状況の通報を受け、精査に時間を要したためです。結果として「決算への直接的な影響はなかった」との結論に至り、監査法人の了承も得られたことで、ようやく透明性が確保された形となりました。
財務面を見ると、2019年09月末時点での現預金残高は138億円と半減しているものの、借入金がないという健全な側面も保持しています。自己資本比率は77%という高い水準を維持しており、松下社長は「現在の資金で今期の計画は遂行可能である」と強調しました。これは、倒産リスクが低いことを示すポジティブな指標と言えるでしょう。
編集者の視点:本質的な価値への回帰が「V字回復」の鍵を握る
個人的には、今回の赤字は「成長の痛み」であると感じています。インバウンド需要や中国市場に依存しすぎていた構造を、抜本的に改革するチャンスではないでしょうか。2020年09月期も20億円の営業赤字を見込むなど、キャッシュの流出は続くと予想されますが、ここで培われた反省こそが、次なる革新的デバイスを生む原動力になるはずです。
ネット上でも「製品自体は素晴らしいので、ブランドを磨き直してほしい」という意見が目立ちます。新製品が計画通りに市場に受け入れられるかは未知数ですが、MTGという企業が持つ「ワクワクさせる力」はまだ失われていません。再び業績を軌道に乗せ、投資家やファンの期待に応える「責任」をどう果たすのか、その再起のストーリーを注視したいと思います。
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