最近、ちょっとしたことでイライラしたり、涙もろくなったりした自分に驚くことはありませんか。実はこれ、単なる性格の変化ではなく、脳の機能低下が原因かもしれません。2019年11月28日現在、シニア世代が「暴走老人」にならないための対策として、科学的なアプローチによる脳のトレーニングが大きな注目を集めています。
東北大学の村田裕之特任教授によれば、脳の成長は20歳でピークを迎え、その後は緩やかに下降線をたどります。50代に入るとその衰えは顕著になり、感情を抑える力が弱まってしまうのです。SNS上でも「最近父が怒りっぽくなって困る」「自分も将来が不安」といった声が散見され、世代を問わず切実な問題として捉えられていることが伺えます。
司令塔「背外側前頭前野」を鍛えて理性を取り戻す
私たちの脳内で、感情のブレーキ役を担っているのは「背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)」という部位です。ここは思考や学習を司る、いわば脳の司令塔です。コンピューターに例えるなら、計算を行うCPUと、一時的に情報を蓄えるRAMの両方の役割を果たしています。この部位がスムーズに働かなくなると、感情の制御が難しくなるのです。
村田教授は、この司令塔を活性化させるために「手書きの文章作成」や「音読」、「素早い計算」が極めて有効であると提唱されています。筋トレと同じように、脳にも適切な負荷をかけることが重要でしょう。楽すぎる課題では効果が薄く、逆に難しすぎると挫折の原因になります。「少し頑張れば解ける」絶妙な難易度こそが、脳を若返らせる秘訣なのです。
最新センサーで脳の活動を「見える化」する時代へ
脳トレの効果をより確かなものにするため、最新テクノロジーも投入されています。スタートアップ企業のNeUが開発した超小型センサーは、おでこに装着するだけで脳の活性状態をリアルタイムで測定可能です。スマホ画面の色で効果を確認しながら取り組めるため、モチベーション維持にも役立ちます。2019年現在の利用者は、50代を中心に中高年層が8割を占めています。
実際に半年間このサービスを利用している50代の女性は、家事の段取りが良くなっただけでなく、以前よりも穏やかに過ごせるようになったと手応えを感じているそうです。目に見えにくい脳の変化を数値化することで、トレーニングはより効率的になります。未来の自分への投資として、テクノロジーを活用した脳のメンテナンスは、現代人の新常識となっていくでしょう。
心理学の知恵「アンガーマネジメント」を併用する
脳を鍛える一方で、即効性のある心理的テクニックを身につけることも大切です。日本アンガーマネジメント協会が推奨する「6秒ルール」は、怒りが湧いた瞬間に6秒間だけ別のことを考え、理性が働くのを待つ手法です。怒りは消し去るものではなく、上手に付き合うものだという考え方は、ストレスの多い現代社会において非常に理にかなっています。
特に定年退職などで組織を離れると、社会的な抑制が外れて怒りやすくなる傾向があります。趣味の集まりや地域活動など、職場以外のコミュニティーを持つことは、孤独を防ぐだけでなく感情の安定にも寄与するでしょう。身体の健康維持と同様に、脳と心の健康管理を日常に取り入れることで、誰からも慕われる「優しい先輩世代」を目指したいものです。
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