年収1000万円でも「低所得」!?世界に取り残される「安い日本人」と加速する高度人材流出の危機

「日本って、お給料が安すぎない?」という両親の心配そうな顔が、今も脳裏に焼き付いて離れません。2019年春から日本のソフトウェア開発会社でウェブデザイナーとして働く香港出身の楊燕茹さんは、自身の境遇をそう語ります。驚くべきことに、米国でシステムエンジニアを営む彼女の弟は、彼女の4倍もの報酬を手にしているのです。かつて世界を席巻した経済大国としての面影は、今や給与水準という現実の前で揺らいでいます。

インターネット上では「日本での暮らしは物価が安くて快適」という声も散見されますが、専門家の見方は極めてシビアです。外資系人事コンサルのマーサー日本法人で執行役員を務める白井正人氏は、「失われた30年を経て、日本は完全に給与が低い国に成り下がった」と断言しています。かつてアジア諸国の人々が「出稼ぎ」を目指した憧れの地は、今や構造的な地盤沈下に直面しているのが2019年現在の偽らざる実態と言えるでしょう。

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新興国に猛追される日本の報酬水準

データは残酷なまでの真実を突きつけています。2007年から2017年の10年間を分析すると、日本のシステム開発マネジャーの年収は指数ベースで「100」から「99」へと微減しました。これに対し、ベトナムは145、中国・上海は176、タイは210と、新興国は爆発的な成長を遂げています。先進国である米国やドイツも着実に数値を伸ばしており、世界の中で日本だけが足踏みを続け、相対的な価値を落とし続けている状況なのです。

2017年時点での報酬の中央値(データを順に並べた真ん中の値)を見ると、日本は約10万ドルで、すでにシンガポールや北京を下回っています。SNSでは「日本はコスパの良い国になった」と自虐的な投稿が相次いでいますが、これは裏を返せば、日本人の労働力が世界市場で「バーゲンセール」状態にあることを意味します。シリコンバレーの経営者が「日本のエンジニアは安くて高品質だ」と喜ぶ現状は、誇るべきことではなく、危機として捉えるべきです。

「年収1400万円が低所得」という衝撃の格差

世界の基準がいかに変貌しているかを示す衝撃的な調査があります。米住宅都市開発省によれば、サンフランシスコでは年収1400万円の4人家族が「低所得者」に分類されるというのです。2017年の日本における平均世帯年収が約550万円であることを考えると、この感覚の乖離はもはや絶望的です。日本では年収1000万円といえば高所得者の象徴ですが、グローバルスタンダードではその認識さえ通用しなくなっているのが現実です。

こうした格差は、サイバーセキュリティなどの高度な技術を持つ専門人材の流出を招いています。2018年のデータでは、該当職種の最高給与額は日本が1300万円に対し、香港は2480万円と約2倍の開きがあります。富士通やNTTデータが一部で破格の年収提示を始めましたが、年功序列や一律賃上げに固執する従来の日本型雇用システムが壁となり、変化のスピードは決して速いとは言えません。

編集部が考える、21世紀型資本主義への脱皮

20世紀の製造業全盛期には、一律の賃金体系でも皆が豊かになれる仕組みが機能していました。しかし、デジタル革命が加速する2019年、そのモデルは限界を迎えています。私は、日本が再び輝くためには、これまでの「平等という名の横並び」を捨て、個のスキルを正当に評価する構造改革が不可欠だと考えます。優秀な人材が海外へ逃げるのを指をくわえて見ているだけでは、日本の未来は文字通り「安売り」されてしまうでしょう。

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