今、自動車業界に巨大な地殻変動が起きています。2019年11月29日現在、世の中の関心は電気自動車(EV)に集中していますが、実はガソリンエンジンがかつてないほどの劇的な進化を遂げようとしているのをご存知でしょうか。
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの国内大手3社は、2030年に向けてエンジンの「熱効率」を極限まで高める技術開発に乗り出しました。SNSでは「エンジン車はもう古いのでは?」という声も散見されますが、専門家の間では「これこそが真の環境対策だ」と大きな期待が寄せられています。
「LCA」が変えるエコカーの定義
なぜ今、改めてエンジンなのでしょうか。その鍵を握るのが「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という考え方です。これは、走行中だけでなく、車の製造から燃料の精製、そして廃棄・リサイクルに至るまで、一生涯に出す二酸化炭素(CO2)をトータルで評価する仕組みのことです。
2019年3月に欧州連合(EU)で議論が始まったこの新基準では、発電時に多くのCO2を出す国においては、EVよりもハイブリッド車(HEV)の方が環境に優しいという逆転現象が起こり得ます。走行時だけを見る現行の規制から、ライフサイクル全体で評価する手法への「大転換」が、エンジンの価値を再定義しているのです。
熱効率50%という「未知の領域」への挑戦
現在、一般的なエンジンの熱効率は40%程度ですが、日系3社はこれを50%近くまで引き上げようとしています。「熱効率」とは、燃料が持つエネルギーをどれだけ動力に変えられるかという指標です。これが高まれば高まるほど、燃費は向上し、排出ガスは驚くほどクリーンになります。
特に注目すべきは日産自動車の動きです。エンジンを発電専用に割り切る「e-POWER」という仕組みを活用し、実験段階では既に50%を超える数値を叩き出しました。トヨタも長年培ったハイブリッド技術を武器に首位を狙い、ホンダは出力と効率の両立という独自の道を突き進んでいます。
私自身の見解を述べれば、この技術競争こそが日本のお家芸であり、世界のカーボンニュートラルを支える現実的な解になると確信しています。再エネ先進国の欧州と、火力発電に頼らざるを得ない地域では、最適な「正解」が異なるからです。
「e燃料」がもたらす究極のカーボンニュートラル
さらに未来を見据え、トヨタなどは燃料そのものの革新にも着目しています。水や空気中のCO2から作られる「e燃料(合成燃料)」が実用化されれば、既存のエンジン車がそのままカーボンニュートラルな存在に生まれ変わる可能性すら秘めています。
2030年に向けて、EVとHEVは「真のエコカー」の座をかけて激しい火花を散らすことになるでしょう。私たちは今、単なる電動化の波ではなく、エンジンが究極の進化を遂げる歴史的な転換点に立ち会っているのです。
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