東京都は2019年11月07日、来たる2020年度予算に向けた各部局からの要求状況を明らかにしました。一般会計の総額は7兆3926億円となっており、2019年度の当初予算と比較すると0.9%の減少に転じています。予算規模が縮小するのは2年ぶりのことで、金額にして684億円のマイナスとなりました。この数字だけを見ると「守りの姿勢」に感じられるかもしれませんが、その内訳を覗いてみると、東京が次なるステージへ進もうとしている力強い意志が感じられるはずです。
予算が減少した最大の要因は、2020年に開催を控えた東京オリンピック・パラリンピックに関連するハード面の整備が、いよいよ一巡したことにあります。競技施設の建設費などが681億円も減少したほか、都立体育施設の改修費用も223億円ほど圧縮されました。また、2019年度に大きな話題となった旧「こどもの城」の購入経費がなくなったことも、全体の数字を押し下げる結果となっています。SNS上では「五輪後の反動が心配」という声も散見されますが、これは計画通りの進捗と言えるでしょう。
「ソサエティ5.0」の実現へ!宮坂副知事が牽引するデジタル戦略
一方で、都が攻めの姿勢を崩していないのが、超スマート社会「ソサエティ5.0」の推進です。これは、サイバー空間と現実世界を高度に融合させ、経済発展と社会的課題の解決を両立させる未来社会のコンセプトを指します。関連事業には、前年を大きく上回る予算が上積みされました。特に注目すべきは、次世代通信規格「5G」への先行投資です。5Gは現行の4Gに比べ「超高速・低遅延・多数同時接続」という特徴を持ち、都市のあり方を根底から変える可能性を秘めています。
このデジタルシフトの旗振り役を務めるのが、元ヤフー社長という経歴を持つ宮坂学副知事です。彼のリーダーシップのもと、5G重点推進エリアである西新宿の整備に5億円、さらに都立大学(現・首都大学東京)の関連予算に31億円を充てるなど、インフラ整備に余念がありません。民間感覚を取り入れたスピーディーな予算配分は、これまでの行政にはないスピード感を感じさせます。ネット上でも「都のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する」と、期待のまなざしが向けられています。
さらに、5Gの波は教育や介護の現場にも波及しようとしています。小学校や介護施設におけるICT環境の整備など、現場に根差した要求が各局から出されている点は非常に評価できるポイントです。テクノロジーを一部の専門家のものではなく、市民の暮らしを支える道具として定着させようとする都の狙いが透けて見えます。私個人としても、五輪という巨大イベントを終えた後の東京が、いかにして「世界で最も進んだ都市」であり続けるか、その試金石となる予算編成だと確信しています。
特別会計などを含めた総計は15兆328億円という膨大な規模にのぼります。この要求案は、今後行われる小池百合子知事による査定を経て、2020年の年明けに正式な予算案として形作られる予定です。単なる節約ではなく、未来への投資に舵を切った東京都の決断が、私たちの生活をどう彩っていくのか。デジタル先進都市・東京の幕開けを、期待を持って見守りたいと思います。
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