2019年6月21日、国際労働機関(ILO)の年次総会が開催されたスイス・ジュネーブで、働く人を守る歴史的な一歩が踏み出されました。職場における暴力やハラスメントを禁止する新しい国際条約の採択本会議において、日本政府は賛成票を投じました。これは、世界中の働く人の尊厳を深く傷つけるセクハラや嫌がらせといった問題の根絶に向け、日本が国際的な基準作りに協力したことを示す、極めて重要な判断だといえるでしょう。
厚生労働省の麻田千穂子・国際労働交渉官は、ジュネーブでの取材に対し、「暴力やハラスメントは、働く人の尊厳を傷つけるものであってはならない」と強く述べ、史上初めての国際的な基準が確立されたことの意義は非常に大きいと評価しました。この条約は、職場での嫌がらせ行為や暴力を法律で禁じることを加盟国に義務付け、必要に応じて罰則を科すという、非常に厳格な内容を含んでいます。
この歴史的な採択では、各国の政府、労働者、そして使用者の代表らが投票に参加し、結果は賛成439、反対7、棄権30となり、圧倒的な賛成多数で新しい条約は可決されました。この結果は、働く環境から不当な苦痛を取り除くという世界的な意思が明確に示された証拠でしょう。
ハラスメント禁止条約、その適用範囲と日本の課題とは
新しい国際条約が画期的なのは、その保護対象の幅広さです。単に企業の正社員にとどまらず、ボランティアや求職活動中の人々までもが対象に含まれています。さらに、適用される場面も、従来の「職場」の枠を超え、通勤途中や電子メールでのやりとりなどもカバーしています。企業に対しても、ハラスメントのリスク管理や防止策を講じるよう求めており、より包括的な対策が必須となります。
この条約を批准するかどうかは、各国の判断に委ねられていますが、批准した場合には、その国の国内法や制度を条約の内容に合わせて整備していく必要があります。日本政府は今回、賛成票を投じながらも、条約の批准については「国内法との整合性などの観点から、さらに検討すべき課題がある」として、現時点では未定との立場を表明しました。この発言は、条約が求める厳しい基準をどのように日本の法律や企業文化に落とし込んでいくかという、今後の重要な論点を示しているといえるでしょう。
国際的な議論に参加し、賛成票を投じることで、日本はハラスメント根絶への強い意思を示しました。この動きは、SNS上でも「働く人の人権が守られるべきだ」「一歩前進で素晴らしい」といった肯定的な反響が寄せられています。私自身、この国際的な流れは、日本の企業が働き方を見直し、全ての労働者が安心して働ける公正な環境を作るための、強力な追い風になると強く感じています。今後の国内での議論と法整備の進展に、大いに期待しているところです。
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