2019年12月12日、日本の小売業界に激震が走る大きなニュースが飛び込んできました。家電量販店最大手のヤマダ電機が、経営再建中であった大塚家具を子会社化すると正式に発表したのです。かつて「会員制」という独自のビジネスモデルで一世を風靡した大塚家具ですが、近年は深刻な赤字に苦しんでいました。今回の買収劇によって、当面の懸念材料であった資金繰りに目処が立った形となります。
記者会見の席でヤマダ電機の山田昇会長は、大塚久美子社長の進めてきた経営改革を高く評価しました。顧客層に女性が増え、客単価も上昇傾向にある現状を「方向性は間違っていない」と断言しています。両社の出会いは、単なる救済にとどまらない深い「親和性」を感じさせるものでした。SNS上でも「これからは家電と家具をセットで選べるようになるのか」と、新しい買い物体験への期待の声が数多く寄せられています。
新業態「家電住まいる館」が握る再建の鍵
ヤマダ電機は2011年に住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収して以来、家電量販という枠組みを超えた住宅関連事業の強化に注力してきました。その象徴とも言えるのが、家具やインテリアを幅広く取り扱う新業態「家電住まいる館」です。2019年9月30日時点で、直営店の約1割にあたる102店舗をこの新業態へ転換しており、住宅を軸にした「トータルコーディネート」の実現を急いでいる状況にあります。
ここで大塚家具が持つ高級感あふれる商品群や、専門性の高い接客ノウハウが大きな武器となるでしょう。現在はまだ7店舗にとどまっている協業体制を、今後は全国へとスピーディーに拡大していく方針です。山田会長は、今回の投資額を「3年で回収できる」と強気の姿勢を崩していません。長年培われた大塚家具のブランド力が、ヤマダの店舗網と融合することで、化学反応が起きることを確信しているかのような口ぶりでした。
しかし、この巨大プロジェクトの前途がすべて明るいわけではありません。現在、ヤマダ電機の連結売上高において住宅関連事業が占める割合は約1割程度であり、依然として家電販売が収益の8割を支える構造です。住宅市場は競合他社も多く、非常に厳しい競争環境に置かれています。家電と家具の融合という戦略が、どれだけ一般消費者の心に響くのか、その真価が問われるのはまさにこれからだと言えるでしょう。
個人的な見解を述べさせていただくなら、今回の提携は大塚家具にとって「最後のチャンス」であり、ヤマダ電機にとっては「脱・家電量販店」を完遂するための大きな賭けです。高級路線のイメージが強い大塚家具が、大衆的なヤマダ電機の店舗の中でその輝きを失わずに済むかどうかが焦点となるはずです。ブランドの矜持を守りつつ、いかに手軽さを演出できるか。両社の歩み寄りが、日本の住環境を劇的に変えるきっかけになることを願ってやみません。
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