北海道立総合研究機構(道総研)が、人工知能(AI)を駆使して森林の木材量を正確に把握する画期的な新技術を開発しました。2019年12月13日に発表されたこの技術は、ドローンで空撮した画像から樹木の状態を解析するものです。これまでの林業の常識を覆すような、スマートで効率的な森林管理の幕開けといえるでしょう。
SNS上では「ついに林業もテック化が進むのか」「ドローンなら急斜面の調査も楽になりそう」といった期待の声が数多く寄せられています。この技術の鍵を握るのは、木の葉が豊かに茂っている部分を指す「樹冠(じゅかん)」という言葉です。道総研は、この樹冠の大きさと木の幹の太さに密接な相関関係があるという点に注目しました。
AIに約300枚の森林画像、数にして4万本以上の樹木を学習させることで、画像から自動的に樹冠を識別する能力を持たせることに成功しています。実際、数十本の木で幹の太さを推定したところ、実測値との誤差は平均3センチメートル強という驚くべき精度を記録しました。これは、熟練の林業従事者が現地で測るのと遜色のないレベルです。
従来の木材量調査は、作業員が広大な森林へ実際に足を運び、1本ずつ計測していくという過酷な労働環境に支えられていました。航空機からレーザーを放って解析する高度な手法も存在しますが、コストが非常に高い点が導入の壁となっていたのです。今回の新技術は、20万円から30万円程度の市販ドローンで対応できるため、経済的なメリットも絶大でしょう。
深刻な人手不足を救うAIの可能性
現在の林業現場では、従事者の高齢化と労働力不足が深刻な課題となっており、デジタルトランスフォーメーション(DX)による負担軽減が急務です。私は、こうした先端技術の導入こそが、若者が林業という職業に魅力を感じるきっかけになると確信しています。2020年度からは民間企業との協議も始まり、実用化に向けた動きが加速する見通しです。
道総研の挑戦は林業だけに留まりません。農業分野でも、小麦に甚大な被害を及ぼす「赤カビ病」の有無を98.4%という極めて高い精度で判別するAI技術を確立しています。専門的な知識が必要だった病害虫の判定をAIが肩代わりすることで、経験の浅い農家の方々でも高品質な生産が可能になる未来がすぐそこまで来ています。
さらに、北海道内で年間約40億円にも上るエゾシカによる農林業被害の対策にも、画像認識技術が応用されています。定点カメラの映像をAIが分析し、シカの行動パターンから最適な罠の設置場所を導き出す試みです。こちらの研究成果も2020年度内には取りまとめられる予定で、地域課題の解決にAIが直接貢献する素晴らしいモデルケースとなるでしょう。
最新テクノロジーと伝統的な産業が融合することで、北海道の豊かな自然資源を持続可能な形で守り抜くことができます。AIによる画像認識は、もはや遠い世界の技術ではなく、私たちの生活や地場産業を支える不可欠なパートナーになりつつあるのです。道総研の次なる展開から、今後も目が離せません。
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