親が認知症を患った際、介護や施設への入居に必要となる多額の費用を一体誰が捻出すべきなのでしょうか。朝日生命保険が2019年7月に、将来への不安を抱える40代から50代の男女1,108人を対象として実施したアンケート調査では、非常に興味深い結果が浮き彫りになりました。
調査の結果によれば、全体の43.9%もの人々が「介護費用は親自身の資産で賄う」と考えていることが判明しました。興味深いことに、性別で見ると男性の37.8%に対して女性は50.0%に達しており、より現実的な視点で親の懐事情を注視している女性の姿が目に浮かびます。
SNS上ではこの結果に対し、「自分の生活を守るためには当然の選択」という肯定的な意見が目立つ一方で、「親が十分な貯蓄を持っているとは限らない」といった切実な不安の声も広がっています。親の老後を支えるという意識はあっても、自身の家計を切り崩すことへの抵抗感は、現代社会において共通の認識と言えるでしょう。
一方で、次に多かった回答が「考えたことがない・わからない」という層で、全体の25.2%を占めています。自分の資産で負担すると答えた人はわずか9.7%に留まっており、多くの方が「親のお金で何とかしたいけれど、具体的な見通しは立っていない」というグレーゾーンにいることが推測されます。
認知症が招く「資産凍結」の恐怖と話し合いの重要性
ここで注目すべきは、認知症による「意思能力」の低下がもたらすリスクです。意思能力とは、自分の行為の結果を判断できる精神的な能力を指しますが、これが失われると、銀行口座からの出金や不動産の売却といった法律行為が制限され、事実上の資産凍結状態に陥る恐れがあります。
それにもかかわらず、親の住まいの処分や相続について「話し合ったことがない」と回答した人は54.7%に達しています。さらに「話し合ったが結論が出ていない」という21.7%を加えると、実に4分の3以上のご家庭で、具体的な方針が決まっていないという驚きの実態が見えてきました。
私は、この「話し合いの欠如」こそが将来の家族トラブルの火種になると危惧しています。親が元気なうちに財産目録を作成し、誰がどのように管理するかを決めておくことは、決して不謹慎なことではありません。むしろ、それは家族の絆を守るための、最も理知的で優しい準備だと言えるはずです。
2019年12月7日に発表されたこのデータは、私たちに早期対策の必要性を強く訴えかけています。認知症になってからでは遅すぎるからこそ、今この瞬間から「親のお金」をどう守り、どう使うべきか、家族間でオープンに議論を始める勇気を持つことが求められているのではないでしょうか。
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