2019年12月16日の東京株式市場において、不動産業界の雄である三菱地所が力強い輝きを放ちました。株価は一時、前営業日比で45円50銭(2%)高い2153円まで上伸し、約1年7カ月ぶりとなる高値を記録しています。都心部のオフィス需要が驚異的な粘りを見せる中、プロの投資家たちがこぞって同社株を買い戻す動きが鮮明となっています。
SNS上では「やはり丸の内の大家さんは強い」「安定感が別格」といった声が上がっており、市況の不透明感を跳ね返す同社のブランド力に改めて注目が集まっているようです。この上昇の背景には、2020年11月に公表された三鬼商事のデータがあります。都心5区の平均空室率は1.56%と過去最低を更新しており、ビルの賃貸事業が極めて堅調であることが証明されました。
圧倒的な資産価値と「修正PBR」に見る割安感
三菱地所の最大の武器は、何と言っても東京・丸の内エリアに保有する質の高いオフィスビル群です。景気の先行きに霧がかかったとしても、この一等地の優位性は揺るぎないものと市場では評価されています。ここで重要なのが「修正PBR」という視点です。これは、帳簿上の純資産だけでなく、保有する土地や建物の現在の価値(含み益)を考慮して算出される株価指標を指します。
現在、業界全体で資産の再評価が進んでおり、野村不動産HDや東急不動産HDの数値が切り上がる中で、三菱地所の修正PBRは0.6倍台にとどまっています。他社が0.7倍程度まで買われていることを踏まえると、同社の株価は依然として本来の価値より安く放置されている「割安な状態」にあると言えるでしょう。投資家がこの「お宝感」に気づき始めたことが、今回の高値奪還を後押ししています。
2021年3月期からの新中期経営計画への期待
市場の関心は、2020年初頭にも発表される見通しの次期中期経営計画へと移っています。三菱地所は2019年5月に、同社としては初となる自社株買い(企業が自分の株を買い戻し、株主の利益を高めること)を断行して世間を驚かせました。こうした資本効率を意識した経営姿勢への転換は、多くの投資家にとってポジティブなサプライズとして受け止められています。
編集者の視点から言えば、今の三菱地所は単なる「地主」から、株主還元に積極的な「攻めのグローバル企業」へと進化を遂げようとしている過渡期にあります。野村証券の福島大輔氏も指摘するように、資産効率の改善と還元強化への期待値は非常に高く、この勢いはしばらく持続する可能性が高いでしょう。都心の空室率が底を打つ気配を見せない中、同社の独走態勢は今後も続きそうです。
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