地図情報の最大手として知られるゼンリンが、新たな挑戦の一歩を踏み出しました。2019年12月、北九州市の象徴的な商業施設である「リバーウォーク北九州」の1階に、同社初となる地図グッズ専門店「マップデザインギャラリー」がオープンしたのです。
約80平方メートルの広々とした店内には、緻密な住宅地図や情緒あふれる古地図をモチーフにしたアイテムが並びます。文房具からマグカップ、さらにはスタイリッシュなTシャツまで、そのラインナップは約200品目にも及び、訪れる人々を驚かせています。
地図は「記録」から「思い出」のデザインへ
このショップの大きな特徴は、地図を単なる道案内や地理情報のツールとしてではなく、個人の記憶に寄り添う「デザイン」として捉えている点にあります。旅行先での高揚感や、慣れ親しんだ故郷への愛着を形にして持ち帰ってほしいという、素敵な願いが込められているのでしょう。
SNS上では、特に地図好きの方々から「地元がデザインされたグッズが欲しかった」「古地図のレトロな雰囲気がおしゃれすぎる」といった熱烈な反響が寄せられています。精密な情報を扱うゼンリンだからこそ実現できる、ディテールへのこだわりがファンの心を掴んでいるようです。
ここで活用されている「住宅地図」とは、一軒一軒の建物名や居住者の氏名まで詳細に記された地図のことを指します。こうしたプロ向けの情報を身近な雑貨へと昇華させたアイデアは、既存の枠にとらわれない非常にクリエイティブな試みだといえるでしょう。
地域に根ざした展開とこれからの広がり
創業の地である北九州からスタートした本プロジェクトですが、今後は東京や大阪、福岡市といった主要都市への多店舗展開も視野に入れているとのことです。地域ごとに異なる地図が主役となるため、各店舗がその土地ならではの魅力を発信する拠点になることが期待されます。
編集者としての私の視点では、デジタル地図が普及した今だからこそ、あえて手に取れる「モノ」としての地図に価値を見出した戦略に強く惹かれます。自分の住む街や大切な場所を身にまとう感覚は、所有欲を満たすだけでなく、地域への帰属意識を高める一助となるはずです。
2019年12月17日の発表を皮切りに、地図文化の新しい形を提案するこの取り組みは、多くの人々にとって日常を彩る特別なスパイスとなるに違いありません。地図を「読む」のではなく「楽しむ」という文化が、ここ北九州から全国へ広がっていく未来が非常に楽しみです。
コメント