私たちの生活に欠かせないスマートフォンですが、大規模な災害が発生した際には基地局の損傷や停電によって、通信が途絶えてしまうリスクが常に付きまといます。そんな非常時の「情報の空白」を埋めるべく、NTTドコモが画期的な一手を投じました。2019年12月17日、ドコモは中国地方で活動するコミュニティFM18局との間で、災害時における情報提供に関する協力体制を構築したと発表したのです。
今回の提携により、ドコモは携帯電話の電波が届かないエリアの特定や、復旧作業の進捗状況といった極めて重要なインフラ情報を各ラジオ局へ提供します。特筆すべきは、これがドコモにとって全国初のコミュニティFMとの連携であるという点でしょう。地域に根ざした放送局が持つ「情報の伝達力」と、通信キャリアが持つ「現場の技術情報」が融合することで、被災した住民の方々へより迅速かつ正確な状況が届けられるようになります。
コミュニティFMとは、特定の市町村など限定された地域に向けて放送を行う放送局のことで、大手放送局以上に「地元の路地一本レベル」の細やかな情報を発信できるのが強みです。今回、広島県のエフエムふくやまを含む6局をはじめ、山口県で6局、岡山県で3局、島根県で1局、鳥取県で2局と、中国地方を網羅する形で提携が結ばれました。SNS上では「停電時はネットよりラジオが頼りになるから心強い」といった、期待を寄せる声が数多く上がっています。
インフラとメディアの連携が切り拓く防災の未来
私は、今回の取り組みは単なる企業の社会貢献を超えた、非常に実利的な防災モデルであると考えています。ネット社会において、通信キャリアが「つながらないこと」を自らラジオで公表するのは勇気がいる決断かもしれません。しかし、不通エリアを隠さず周知することは、二次被害を防ぎ、住民に次の行動を促すための誠実な支援の形と言えるでしょう。この連携が、パニックを抑える大きな抑止力になることは間違いありません。
特に山間部や島しょ部を多く抱える中国地方において、情報の「ラストワンマイル」をいかに埋めるかは長年の課題でした。電波状況という目に見えない不安に対し、耳から入る確かな情報が安心感をもたらす効果は計り知れません。2019年12月17日という節目に動き出したこのパートナーシップが、今後全国へと波及し、日本の災害対応能力を一段高いレベルへと引き上げてくれることを切に願っています。
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