【ドコモ新料金の真実】なぜ一律値下げは実現しなかったのか?「4割削減」の裏側と消えない複雑さの謎に迫る

私たちの生活に欠かせないスマートフォンですが、その料金プランについて「もっと安くならないのか」と感じている方は多いのではないでしょうか。2019年6月1日現在、通信業界では大きな動きが起きています。電気やガスといった公共インフラは使用量に応じて料金が決まるシンプルな仕組みですが、携帯電話料金に関しては、なぜか複雑怪奇なプランが乱立しているのが現状です。今回は、NTTドコモが発表した新プランを掘り下げ、なぜ期待された「一律値下げ」が実現しなかったのか、その舞台裏を検証していきます。

ドコモが今回の新プラン導入に踏み切った背景には、2つの大きな要因があります。一つは法改正によって義務付けられることになった「分離プラン」への対応です。これは、専門用語で少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに「スマートフォンの端末代金」と「毎月の通信料金」を完全に分けて請求する仕組みのことです。これまでは端末代を割り引く代わりに通信料が高止まりするといった不透明さが問題視されていましたが、この分離によって料金の透明性を高めようという狙いがあるのです。

もう一つの要因は、政府からの強烈な値下げ要請です。菅義偉官房長官が2018年に発言した「携帯料金は今より4割程度下げる余地がある」という言葉を覚えている方も多いでしょう。しかし、ドコモの契約者約5000万人の平均支払額である4360円を一律で4割下げてしまうと、単純計算で1兆円以上もの減収となり、ドコモの営業利益がすべて吹き飛んでしまうのです。企業として存続するためには、政府の顔を立てつつも、一律値下げではなくプランごとに強弱をつけるという苦渋の決断をせざるを得なかったのでしょう。

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「分かりやすさ」を求めたはずが、SNSでは困惑の声も

ドコモは今回、かつて20種類近くあった複雑なプランを整理し、「ギガホ」と「ギガライト」という2つのシンプルな選択肢に絞り込みました。担当者も「複雑で分かりにくい古いプランを整理するため」と意気込みを語っています。しかし、実際に蓋を開けてみると、SNS上では「結局安くなるのか計算できない」「条件が多すぎて訳が分からない」といった困惑の声が後を絶ちません。家族割引やネット回線とのセット割、さらには期間限定キャンペーンなどが絡み合い、利用者が支払う実際の金額が見えにくくなっているのが実情です。

消費者団体の関係者も「自分の料金がどうなるか、結局は分かりづらいままだ」と厳しい指摘をしています。世界に目を向けてみれば、パリでは約7割、ニューヨークでも約6割も携帯料金が下がっているというデータがあります。それに比べて東京の下げ幅はわずか12%にとどまっているのですから、日本の利用者が不満を持つのも無理はありません。海外では新規事業者が価格破壊を仕掛け、競争が活性化していますが、日本では大手3社による寡占状態が長く続き、競争が停滞してしまっているのが現状だと言えるでしょう。

これからの通信業界、本当の競争はこれからだ

こうした停滞感を打破するため、政府は異例の介入に踏み切りました。そして注目すべきは、2019年10月に予定されている楽天の携帯事業への新規参入です。楽天の三木谷会長は「いつでも加入し、いつでもやめられる超シンプルな料金プラン」を掲げており、これが実現すれば大手3社も更なる対応を迫られることになるはずです。電波という国民の共有財産を使ってビジネスをしている以上、携帯各社には利益追求だけでなく、利用者にとって本当にメリットのある競争をしてほしいと願わずにはいられません。

大手3社は巨額の利益を上げている一方で、支払っている電波利用料は利益に比べて非常に少ないという指摘もあります。私自身、一人のユーザーとして、またメディアの編集者として強く思うのは、見かけ倒しの値下げや複雑な条件付けではなく、誰もが直感的に理解でき、納得して支払える料金体系の確立です。来る10月の楽天参入が、日本の携帯市場に真の価格競争をもたらす起爆剤となることを期待しましょう。私たちは今、通信業界の大きな転換点に立っているのかもしれません。

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