2019年12月17日、広島市において地域の産業活性化を牽引する熱気あふれるイベントが開催されました。公益財団法人ひろしまベンチャー育成基金が主催する「第26回ひろしまベンチャー大賞」の授賞式と助成金贈呈式です。今回の式典では、未来の生活を劇的に変える可能性を秘めた17の企業や個人に対し、総額2080万円という多額の支援金が贈られることとなりました。
選考を終えた池田晃治理事長は、今回の応募内容について「今すぐ社会で実用化できるような、具体的かつ優れたアイデアが非常に多かった」と高く評価しています。SNS上でも「広島から世界へ羽ばたく企業が出てくるのが楽しみだ」といった期待の声や、「地方ベンチャーへの手厚いサポートは心強い」というポジティブな反応が広がっており、地域の起業家精神の高さがうかがえます。
スマート家電と最先端医学が輝くダブル大賞
栄えある「ひろしまベンチャー大賞」を受賞したのは、全く異なる分野で革新を起こそうとしている2者です。まず一社目は、広島市に拠点を置く「stak(スタック)」です。彼らが手掛けるのは、あらゆる家庭電化製品をスマートフォンのアプリ一つで遠隔操作可能にする魔法のようなデバイスです。IoT(モノのインターネット)と呼ばれる、身の回りのあらゆる物がネットにつながる技術を駆使し、私たちの暮らしをより便利にアップデートしてくれます。
もう一つの大賞に輝いたのは、広島大学で教鞭を執る田原栄俊教授のプロジェクトです。田原教授は「創薬」、つまり新しい薬を生み出す研究の第一人者であり、現在はアスベストが原因で引き起こされる難治性の「がん」に対する治療薬の開発に挑んでいます。この研究はがん治療に留まらず、失われた組織や機能を再生させる「再生医療」への応用も期待されており、医療の常識を塗り替える可能性を秘めているのです。
革新的なガジェットを提案したstakと、人命を救う最先端医療の田原教授には、今後のさらなる飛躍を願ってそれぞれ500万円の助成金が授与されました。これほどの高額支援は、研究開発や事業拡大を目指す起業家にとって、何物にも代えがたい大きな追い風となるに違いありません。
若き才能が拓く研究者向け動画配信の新しい形
次世代を担う学生を対象とした「ひろしまヤングベンチャー大賞」にも、注目すべき才能が登場しました。広島大学大学院の医系科学研究科に身を置く管仕成氏が、その栄冠を手にしています。管氏が展開するのは、研究者向けに特化した動画配信事業という非常にユニークな試みです。専門性の高い情報を映像で共有するこのプラットフォームは、学術の世界に新たなコミュニケーションの風を吹き込むことでしょう。
今回の公募には2019年6月から9月までの期間に、一般枠で76件、学生枠で31件という多数の応募が寄せられました。厳しい面接審査を勝ち抜いた面々からは、広島という地からイノベーションを起こそうという並々ならぬ覚悟が感じられます。編集者の視点から見ても、単なる夢物語ではなく、実利と社会貢献を両立させたビジネスモデルが揃っている点は非常に頼もしく感じます。
ひろしまベンチャー育成基金は2003年の設立以来、累計で347の企業や個人に対して合計2億9000万円もの助成を行ってきました。こうした継続的な支援が土壌となり、広島が「ベンチャーの聖地」として成長していく姿を予感させます。地域経済の活性化には、既存の枠組みにとらわれない新しい力が必要不可欠であり、今回選ばれた17者の挑戦が実を結ぶ日を願ってやみません。
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