もしも若かりし頃の自分にタイムスリップできるのであれば、人生の黄金期とも言える都立大泉高校での日々を迷わず選ぶでしょう。そう語るのは、日本最古の総合不動産会社である東京建物の舵取りを担う野村均社長です。2019年08月29日、彼は自身の人生に彩りを与え続ける大切な友人たちとの交流について、温かな筆致で明かしてくれました。入学式という運命の日に偶然言葉を交わしたのが、現在は富士通ゼネラルの経営執行役上席常務として活躍する杉山正樹氏だったというから驚きです。
二人は高校の柔道部に所属し、団体戦のレギュラーとして汗を流す仲でした。しかし、血気盛んな武道派かと思いきや、試合前には「また試合があるのか、気が進まないな」と二人でぼやき合っていたという意外なエピソードが微笑ましいですね。こうした自分たちの未熟な振る舞いを、今になって「恥ずかしくも良い思い出だ」と振り返る野村氏の言葉からは、等身大の人間味を感じずにはいられません。SNS上でも「トップ企業の社長たちが弱音を吐き合っていたなんて親近感がわく」と、エリートの意外な素顔に共感が集まっています。
杉山氏は周囲を笑顔にする「ひょうきん者」であり、落ち着いた雰囲気の野村氏とは正反対の性格だそうです。特に、現在は東京電機大学中学校・高等学校の校長を務める大久保靖氏とのテンポの良い掛け合いは、周囲を和ませる名物となっていました。こうした多才で愛されるキャラクターを、野村氏は「単純に見えて実は奥深い」と高く評価しています。誰からも愛される人間的な魅力は、組織を率いるリーダーにとっても不可欠な要素であり、今の野村氏の経営スタイルにも大きな影響を与えているのでしょう。
野村氏が経営の現場で大切にしているのは、社員との物理的・心理的な距離を縮めることです。杉山氏が持つ、周囲を自然と引きつける独自の求心力や立ち居振る舞いは、まさに「現場主義」を貫く上での絶好の手本になっているようです。ここで言う「現場主義」とは、机上の空論ではなく実際に足を運び、働く人々の声を聞いて意思決定を行う手法を指します。友人の柔軟なコミュニケーション能力を、野村氏は自分の中に上手く取り入れ、東京建物という大組織の風通しを良くしているのではないでしょうか。
大学進学後も、彼らの絆が途切れることはありませんでした。母校の臨海学校でOBとして後輩たちの指導にあたったり、共にビル清掃のアルバイトに精を出したりと、公私を問わず多くの時間を共有してきたのです。社会人という荒波に揉まれるようになってからも、大久保氏を交えた親友同士の集まりは毎年欠かさず続けられています。2019年08月29日時点で50年近くにも及ぶこの交流は、気を遣う必要が一切ない、究極のリラックスタイムとして野村氏を支えています。
損得勘定抜きで付き合える「大泉の友」こそが生涯の財産であると断言する野村氏の言葉は、希薄になりがちな現代の人間関係において非常に重く響きます。どんなに社会的地位が変わろうとも、10代の頃と同じ目線で笑い合える仲間がいることは、経営者としての孤独を癒やす特効薬なのかもしれません。私たちは成功を収めることばかりに目を奪われがちですが、本当に価値があるのは、長年にわたって自分を等身大の姿に戻してくれるこうした友情なのではないでしょうか。
コメント