北海道の冬の味覚を代表する「イカ」を巡り、歴史的な転換点が訪れています。函館税関が2019年12月18日に発表した最新の貿易概況によると、11月における函館港のイカ輸入額は16億1400万円に達しました。この数字は、比較可能なデータが残る1979年以降で最も高い金額であり、まさに「異例の事態」と言えるでしょう。
前年同月と比較すると、その差はなんと15倍という驚異的な伸びを見せています。地元・道南海域での不漁が長引いている影響は深刻で、水産加工会社は安定供給を維持するために、必死の思いで海外産の確保に奔走しているのが現状です。SNS上でも「地元のイカが高嶺の花になった」「スーパーに並ぶ産地が変わって寂しい」といった、食卓への影響を懸念する声が数多く上がっています。
世界から集まるイカと変容する北海道貿易の姿
輸入ルートの内訳を覗いてみると、主要な相手国である中国に加え、最近ではロシアからの輸入量も目に見えて増加しています。こうした「調達先のグローバル化」は、伝統ある函館の加工技術を守るための苦肉の策とも言えるでしょう。北海道全体のイカ輸入額も24億7300万円と前年の5倍に膨れ上がっており、もはや一地域だけの問題に留まらない規模となっています。
一方で、道内全体の貿易バランスに目を向けると、少し複雑な情勢が見えてきます。11月の輸出総額は257億5500万円と前年から3割以上落ち込み、輸入額も同様に2割ほど減少しました。これにはエネルギー産業の構造変化が大きく関わっています。具体的には、室蘭市にある事業所が生産拠点から物流拠点へと役割を変えたことで、原材料や製品の輸出入がストップしたことが数字に色濃く反映されました。
ここで少し専門的な解説を加えますと、今回ゼロとなった「有機化合物」や「揮発油(ナフサ)」は、プラスチックや合成繊維、ガソリンなどの原料となる極めて重要な物質です。これまでの北海道経済を支えてきたエネルギー資源の動向と、私たちの身近な食資源であるイカの動向が、対照的な動きを見せている点は非常に興味深い現象ではないでしょうか。
私個人の視点としては、ブランド魚としてのプライドを持つ函館が、これほどまでに輸入品に頼らざるを得ない状況に、強い危機感を覚えずにはいられません。環境変化による不漁は不可抗力な側面もありますが、輸入に依存しすぎることはコスト増を招き、最終的には消費者の負担となります。今こそ、資源保護と加工技術の維持を両立させる、新たな産業の形を模索すべき時なのかもしれません。
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